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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』2005年3月27日付

私大もペイオフ対策 NPO調査、過半数が決済用預金


 4月のペイオフ全面解禁を控え、全国の大学で対策が進んでいる。NPO法
人(特定非営利活動法人)「21世紀大学経営協会」(理事長・宮内義彦オリッ
クス会長)の調査によると、無利息だが金融機関が破綻(はたん)しても全額
保護される決済用預金の導入など、回答した私大のうち9割近くが3月末まで
に対応策を決めるとしている。国立大学でも同様の動きがある。財務面で問題
を抱えたくない大学の危機意識が表れているようだ。

 ペイオフが全面解禁されると、金融機関が破綻した場合、普通預金でも元本
1千万円とその利息までしか保護されなくなる。入学金や授業料収入によって、
多い私大では年間収入が400億円を超える。多額の預金を持っている大学も
多く、対応が注目されていた。

 同協会は昨年12月、短期大学を含む全国の私大654法人を調査。167
法人から回答を得た。ペイオフへの対策がすでに昨年12月の段階で決まって
いる86法人と、3月までに決めると答えた62法人をあわせ、全体の9割近
くが全面解禁までに対応を決めるという。

 半数を超える92法人は決済用預金を導入し、うち45法人がそれを学費の
振込先に使う。

 取引金融機関に不安があると答えた20法人のうち、14法人が「安心でき
る他の金融機関に資金を移す」と回答。「安心できる有価証券に一部を移す」
と8法人が答えた。「ペイオフ対策として取引先金融機関を大幅に絞り込んだ」
と打ち明ける都内の私大もある。

 文部科学省によると、国立大学でも決済用預金を導入したり口座を分散させ
たりするなどの対策の動きがあるという。昨春、国から独立した法人となり、
資産運用を各大学ごとに独自に決められるようになったためだ。