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新首都圏ネットワーク


時事通信配信記事 2005年3月25日付

20年ぶり抑制方針を撤廃=教員養成学部、来春定員増へ−文科省


 20年にわたり抑制されてきた国公私立大学の教員養成学部の定員に関し、
文部科学省の調査研究協力者会議は25日、抑制方針の撤廃が適当とする報告
をまとめた。同省は来週中にも関係告示を改正。大学側が来年4月に定員増を
行いたい場合の認可申請を受け付ける。

 ベビーブームに伴う児童生徒の急増に対応して大量養成された教員が間もな
く定年退職し、近畿圏を中心に深刻な教員不足となる可能性を受けて検討。2
月の第1回会議で抑制方針の撤廃に大筋合意していた。 

 ただ、少子化が続いた場合、いずれまた教師になれない教員養成学部出身者
が増える懸念が指摘された。このため報告は「全国一律に教員養成規模の拡大
を促す意図ではない」として、各大学に質の確保や地域の教員需要見通しに沿っ
た定員検討を求め、安易な認可申請にはクギを刺した。

 教員養成学部は、第2次ベビーブーム(1971−74年)に生まれた子供
に対応できるよう、66−80年度に計約5000人、入学定員を増やしたが、
84年に抑制方針が決まった。その後、教員養成目的以外の学部への改組や国
立大学の計画的な定員削減などが行われ、多い時に約2万人だった同学部の入
学定員は約1万人まで減少。これに伴い、一時30%台を低迷した国立大の同
学部出身者の教員就職率は50%超まで回復している。

 教員の定年退職者は間もなく年1万人を突破し、ピークの2018年度には
2万5000人以上に達する見通し。現段階で定員増を認めなければ数年後に
教員不足の地域の出現が予想されていた。(了)