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新首都圏ネットワーク


『毎日新聞』神奈川版 2005年3月22日付

横浜市大:教員の任期制導入で混乱 他大学との兼業可能/待遇に差出るかも


 ◇大学側「他大学との兼業可能」/教員側「待遇に差が出るかも」

 4月に地方独立行政法人化する横浜市立大学(小川恵一学長)が、教員の任
期制導入をめぐり揺れている。終身雇用から有期雇用への転換で、大学側は
「裁量労働制で自由度が高くなり、他大学との兼業が可能になる」などアピー
ルに必死だ。任期制を拒否しても雇用は継続されるが、「待遇に差が出るかも」
と教員側は戦々恐々で、22日の同意書提出期限を前に混乱が続いている。
【渡辺創】

 同大は、市の大学改革の一環で地方独立行政法人移行が決まり、18日に文
部科学省に設置者変更などが認可された。教員評価制度、年俸制とともに任期
制を「大学活性化に不可欠」と改革の根幹に位置づける。法人化に伴い、改め
て雇用契約を結ぶため、大学側は任期制を前提に就業規則などを提示。約60
0人の教員に任期制への同意を求めている。

 大学が配布した文書では、任期制を「一定の任期中に目標の達成、成果、業
績を上げ、再任時に反映する仕組み」と説明。▽勤務時間の管理に融通が利く
ことによる兼業▽大学の理念に賛同したことによる管理職就任▽評価機会の拡
大による昇任▽海外出張、長期研修、研究費の優先−−など“アメ”を提示す
る。ただ、任期制では契約時の職級で、3年もしくは5年の任期が決められ、
更新回数も制限される。

 一方、任期制を拒否した場合は、「任期の定めがない契約」となり、「終身
雇用を担保するものではないが、正当な解雇理由がない限り、雇用は継続され
る」(市大学改革推進本部)という。ところが、2月末の説明会で大学側の担
当者が「同意しなければ、1年後の解雇要件となる」「(非同意者は)昇任の
対象としない」などと発言、撤回するなどして混乱した。教員組合などは、拒
んだ場合の対応を明確にするよう求めている。

 大学側は移行初年度の措置として、任期制への変更のみ05年度中は受け付
ける方針。新たな採用者はすべて任期制となる。同大教員組合の中西新太郎委
員長(国際文化学部教授)は「各教員は判断によって、差を付けられることに
不安を持っている。同意書を出せと言われても、今の段階で判断できない教員
が多い」と話している。