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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』2005年3月16日付

大学研究者の研究費に偏り 国公立男性、私大や女性の倍


 科学研究費補助金(科研費)など研究費の配分や使途の問題が指摘されるな
か、国公立大学の男性研究者が1年に使う研究費は、女性や私立大学の研究者
の2倍前後であることが、約1万9000人が回答した理工系39学会のアン
ケートでわかった。このような大規模調査は初めてといい、国公立と私立、男
性と女性の間に明らかな差があることが浮き彫りになった。

 男女共同参画学協会連絡会が03年に実施し、電気情報や物理、機械、化学
材料、生命生物などの研究者が回答。分析した近藤高志・東京大助教授(マテ
リアル工学)らが20日発行の「大学時報」3月号に発表する。

 年額研究費の平均は、国公立大の男性が752万円で、女性が329万円。
私立大の男性は449万円、女性が302万円だった。差は40代から拡大。
50代前半では国公立大の男性は1280万円になるが、女性は480万円。
私立大は男性が625万円、女性が321万円だった。

 同じ調査では、女性の教授や助教授などへの昇進が男性より遅いことも改め
てわかったが、研究費の差はそれ以上。近藤さんらは「女性は役職という表向
きの差以上に、極めて不利な状況にある」としている。

 研究費の問題に詳しい竹内淳・早稲田大教授(半導体工学)は「配分を決め
る審査員が、国立大の男性研究者に偏っているという問題も背景にある」と指
摘している。