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新首都圏ネットワーク


『東奥日報』2005年3月15日付

弘大授業料 1万5000円値上げ決定


 授業料改定について検討してきた弘前大は十五日、二〇〇五年度から年間授
業料を一万五千円値上げし、五十三万五千八百円にすると発表した。国立大の
年間授業料の目安となる「標準額」引き上げに伴う措置。多くの大学が値上げ
を決定する中で、弘大は「地域の経済状況を考えると、本県の高校生の勉学の
機会を奪いかねない」などと慎重な姿勢を示してきたが、現行のまま据え置く
と一億円近い減収になることから「健全運営のためにはやむを得ない」と苦渋
の結論を下した。

 国立大の授業料はこれまで全国一律だったが、昨年四月の法人化後は、各大
学の判断で定めることに決まった。国が設定する標準額の10%増まで値上げで
きるほか、据え置きや値下げも可能となった。

 しかし標準額が上がると、国からの運営費交付金がその分減額されるため、
値上げしないと運営が厳しくなるのが現実で、弘大も値上げしなければ一億円
近い減収になる。また、交付金自体が毎年削減されるため、これとは別に約八
千五百万円の減収も見込まれている。

 弘大は昨年末の政府予算編成で標準額の引き上げが閣議決定したのを受け、
教職員や学生から意見聴取するなど学内で検討を重ね、この日、学内代表者と
学外有識者で構成する経営協議会と臨時役員会で結論を出した。

 弘大で会見した遠藤正彦学長は「収入が急に増えることは考えられず、管理
運営上の節約では減収分を解消できない。教育研究の質を落とすことが懸念さ
れ、値上げせざるを得ない」と、結論に至った理由を説明した。