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新首都圏ネットワーク


『日刊県民福井』2005年3月10日付

福井大に特許移転組織
民間で技術実用化
来春設置 他大学、県とも連携


 福井大学の児嶋眞平学長は九日、同大学などが所有する特許技術の民間企業
移転を促進するため、来年四月に「技術移転機関(TLO)」を学内に設ける
方針を明らかにした。誕生すれば県内初のTLOとなる予定。福井大は、県内
の他大学や県の機関とも連携して「地域のTLO」にしたい考えだ。 (尾嶋
 隆宏)

 福井市の福井大文京キャンパスで開かれた福井大と産業界代表の「トップ懇
談会」で、児嶋学長が説明した。それによると、新たに発足するTLOは、福
井大が所有する特許の実施権を民間企業に移転する中核組織になる。移譲を希
望する企業はTLOに使用料などの対価を支払い、新商品の開発などに活用す
る。大学で開発した技術が実用化されずに埋もれることが避けられる、という
メリットもある。

 福井大は今後、構想をまとめて十月ごろからTLO設置の出資者を募る方針。
県内の他大学や県工業技術センターなどの合意が得られれば、これらの組織の
特許技術を民間移転する“仲介機能”も持たせたいとしており、児嶋学長は
「出資者に利益分配できる組織にしたい」と語った。

 福井大は、昨年四月の法人化に合わせて知的財産本部を設置した。これに合
わせ、学内で開発した特許が個人帰属になっていたシステムを改め、本年度分
以降からは原則として大学に帰属するよう変更している。

 福井大はこのほか、産学官連携に関する学内四組織を統括するため、同日付
で「産学官連携推進機構」(機構長・児嶋学長)を設置したことも明らかにし
た。

 懇談会には、大学と産業界から計七十五人が出席。共同研究の件数は増加し
ているが、福井大地域共同研究センター協力会の前田征利会長(前田工繊社長)
らから「市場ニーズを重視した共同研究が増えるよう、企業と大学がもっと気
軽に顔を合わせるようにしないといけない」などの意見が出された。