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新首都圏ネットワーク


『河北新報』2005年3月4日付

東北の国立大授業料値上げ横並び 学生、説明不足と批判


 東北大は3日、役員会を開き、4月以降の授業料を国が設定した「標準額」
に合わせ、現行より1万5000円高い年間53万5800円とすることを決
めた。東北の国立大では、未定の弘前大を除く6大学が同額の値上げを行う。
各大学は「法人化で国から交付金が減らされ、値上げしないと運営が困難にな
る」と説明するが、横並びによる値上げには批判も出ている。

 昨年末の予算編成で、文部科学省は授業料の目安となる標準額を53万58
00円に設定、1万5000円引き上げた。

 「値上げするかどうかは大学次第」(国立大学法人支援課)だが、文科省は
4月以降、大学に支給する運営費交付金から、今回の値上げ分に学生数をかけ
た額を削減することを決めている。

 大学側は値上げしなければ減収となり、東北で最も学生数の多い東北大では、
2億3000万円の財政不足が生じるという。

 各大学は「教育水準を維持するためにはやむを得ない」(秋田大)、「収入
が減れば運営に影響する」(東北大)と理解を求めるが、東北大工学部の男子
学生(21)は「どんな経緯で値上げを決めたのか、説明がない。取りやすい
ところから取る印象だ」と言う。

 東北大や福島大は学費免除の拡大など支援策を検討しているが、こうした取
り組みは一部に限られる。福島大経済経営学類の教授は「法人化で各大学の予
算運用の権限は広がったのに、一律値上げでは法人化の意味がない」と話して
いる。

[標準額] 国が定める国立大授業料の基本となる額。従来の授業料は標準額
と同額だったが、法人化に伴い、大学の判断で標準額の10%以内の値上げや
値下げができるようになった。4月以降、4年制国立大83校の8割以上が標
準額と同額に設定する見通し。