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新首都圏ネットワーク


時事通信配信記事 2005年3月1日付

株式会社大学、監視して=−文科省、自治体に異例の通知


 構造改革特区を使ってスタートした「株式会社大学」の実態をしっかり把握
して−。文部科学省は27日までに、特区の主体となる全国12自治体に対し
通知を出した。株式会社大学を設置した東京リーガルマインド(LEC、東京
都港区)とデジタルハリウッド(千代田区)が司法試験合格者水増しや、施設
借用を明示しなかったなどの問題が相次いでいるためだ。同省の担当者は「特
区の主体は自治体。大学は企業誘致のように、できれば終わりというのではな
い」としている。

 株式会社が設置する大学は昨年4月に誕生。千代田区と大阪市の特区計画に
基づき、LECは4年制大学を、デジハリは大学院大学を開設した。今後2社
は通信課程や大学院大学を開設していく予定で、特区対象の自治体は12市区
に拡大する。

 文科省の調査で、デジハリが今年4月に開設する4年制大学のパンフなどで、
実際には提携が決まっていない米国のUCLA(カルフォルニア大ロサンゼル
ス校)などを留学提携先として表示していたことや、大学施設借用予定を明示
していなかったことも分かった。LECは司法試験合格者を水増しし、パンフ
に掲載していたとして、公正取引委員会が排除命令を出した。この後も別のパ
ンフで水増し表示を続け、受験生に影響を与える表示が繰り返された。こうし
た報告を受けた22日の大学設置・学校法人審議会では「設置認可は妥当だっ
たのか」などの意見が続出。虚偽表示などが繰り返されていることを重く見て、
特区申請した自治体に対して「特区計画を策定・実施する責任を有する立場と
して、事業の実態把握に努め、的確に対応するように」と、株式会社大学の
「監視」を求める通知を出した。担当者は「学生のためにもきちんとした対応
を取ってほしい」と自治体に要望している。(了)