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新首都圏ネットワーク


『予算・授業料情報』No.36

隙あらば教育基本法「改正」案提出を狙う政府・文科省。
国立大学法人法制の問題点の調査・分析こそ急務。

2005年2月28日新首都圏ネット事務局

(一)
昨年12月24日に閣議決定された17年度政府予算案において、国立大学授業料の値上げ
(1万5000円値上げし、53万5800円)を含む国立大学関連予算が示されま
した。1月の通常国会開始以降、「国立大学法人・意見広告の会」が授業料値上げに
反対する意見広告を読売新聞、毎日新聞両紙に掲載し(2月3日)、また、学生、全大
教、および首都圏ネットによるロビイング活動が展開されてきました。そうしたなか
で共産党と民主党がそれぞれ衆議院予算委員会と衆議院文部科学委員会で質問を行
い、自民党議員も含めて「国立大学の授業料は高い」との認識が国会内に生み出され
ています。
 しかし、3月2日の衆議院本会議において政府予算案がそのまま通過するとの見通し
が報じられています。同日衆議院を通過するならば、政府予算案は、参議院でどんな
に議論百出となっても、憲法の規定から今年度内の3月31日には成立する公算が極め
て高くなってきたと見なければなりません。

(二)
3月2日に衆議院本会議において予算案が通過した場合には、その後は、以下のような
流れとなります:参議院での予算審議(3月3日から1週間から10日間程度か?)→衆
議院各委員会における法案審議、その一環としての衆議院文部科学委員会における各
種法案審議→参議院文部科学委員会における各種法案審議。実は、文部(教)科学関
連の案件はことのほか少なく、義務教育国庫負担法の改正案、大学職員に関わる学校
教育法改正案、そして、国立大学法人統合に伴う国立大学法人法の改正などとなって
います。
 国会関係者によると、「これらの案件がすんなり通ると、時間的余裕ができるの
で、 国会開会当初は断念されたかに見えた教育基本法改正案の国会提出が政治日程
に上ってくることは間違いない。」とのことです。事実、2月23日の衆議院文教科学
委員会において文科大臣は、今国会上程を断念したわけではない、国会提出に向けて
全力を尽くしている、といった 趣旨の発言をし、「隙あらば出す」という姿勢を示
しています。

(三)
事態は、国立大学法人法制定から開始された公教育法制の全面的改編が、基本法であ
る教育基本法「改正」にまで一挙に到達する危険性を示しています。であるならば、
衆参文部(教)科学委員会は、公教育法制改編のトップバッターであった国立大学法人
法がいかなる構造的問題を引き起こしているかを、国政調査権の発動も含めて厳密に
調査、分析しなければなりません。国立大学法人化1年になろうとしている現段階
は、そうした立法府の任務を遂行する上で最適です。しかも、今回の授業料問題は、
繰り返し私達が指摘してきたように、国立大学法人法制が直接的にもたらした構造的
問題の一部なのです。従って、政府予算案の衆議院通過をもって議論を終結させては
なりません。私達は、衆参文部(教)科学委員会がその調査・分析作業を通じて同法の
廃止を含む抜本的見直しを今通常国会において開始するよう強く求めるものです。