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『毎日新聞』大阪朝刊 2005年2月23日付 キャンパスNOW:大学評価学会 経済至上主義でなく、多元的な議論めざす ◇来月26、27日に第2回全国大会 大学評価のあり方を大学関係者が自発的に考えようと昨年設立された大学評 価学会(代表=田中昌人・京都大名誉教授、益川敏英・京都産業大教授)の第 2回全国大会が来月26日から2日間、東京都世田谷区の駒沢大で開かれる。 「今、教育と研究はどこへ向かおうとしているのか」をテーマに多彩なシン ポジウムや分科会などが予定され、初日には小柴昌俊・東京大名誉教授の「基 礎科学をどうする」と題した講演もある。事務局では大学関係者の幅広い参加 を呼びかけている。 国の認証機関による第三者評価が全国すべての大学に義務付けられて間もな く1年を迎える。大学は認証機関によって定期的に評価を受けることになり、 7年以内に評価を受けることが義務付けられた。 大学評価学会は、経済的な視点ばかりに目が向きがちで、基礎科学や人文科 学の分野が軽視される恐れのある国主導の大学評価に対抗し、多元的な視点で の評価を広げる目的で昨年3月、京都で設立された。 現在、全国の大学関係者233人が学会員に名を連ね、これまで14回の月 例研究会を開くなど地道に活動を重ねている。 大学評価は欧米では19世紀後半からの歴史を重ねているが、わが国では国 の強制的な措置によって導入された受け身の性格が強い。90年代初め、大学 設置基準の改正によって自己評価制度が導入されたが、定着していないのが現 状だ。 学会の事務局長を務める重本直利・龍谷大教授は「これまで評価という言葉 は重たい感じに受け取られてきたが、受け身ではなく能動的にかかわると、風 通しが良くなって自由に議論できる。自分の教育や研究がどれだけ有効で社会 的貢献を果たしているか、お互いに評価し合う関係を民主的に作り上げていき たい。経済至上主義でない多元的な視点で議論していくのが学会のコンセプト で、参加者のいい緊張関係を作りたい」と語る。 大学評価学会では、評価の哲学、高等教育評価など五つの専門委員会が置か れている。また、わが国政府は、国際人権規約(A規約)を批准しながら同規 約第13条2項cの「高等教育の漸進的無償化」を留保し続けており、今後は 政府に無償化を求める「2006年問題特別委員会」の取り組みを強めたい、 という。 学会では今春、第2回の全国大会を開くにあたってこれまでの活動の成果を まとめた「21世紀の教育・研究と大学評価−もう一つの大学評価宣言」と題 する本を晃洋書房から出版した(1050円)。講演や報告のほか大学評価京 都宣言などが掲載されている。学会や本の問い合わせは龍谷大・重本研究室気 付の大学評価学会事務局(075・645・8630、8634)へ。【平野 幸夫】 |