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新首都圏ネットワーク


2005(平成17)年2月21日

学生の皆さんへ

東京外国語大学長

池端雪浦


平成17年度の授業料について

 2005(平成17)年度の授業料について、本学は検討を尽くした結果、苦渋の、
しかしやむを得ない選択として、その引き上げを決定いたしました。なお、科
目等履修生、研究生の授業料については、これを据え置くことにしました。

 国立大学の授業料は、従来は国によって一律に定められていましたが、2004
(平成16)年4月に法人化されて以後、文部科学省が標準額を定め、その上限
10パーセントの範囲内で各大学がそれぞれの授業料を最終的に決める制度に変
わりました。この新制度の下で、本学は授業料の値上げは可能な限り行わない
との決意で臨んでまいりました。したがって、2005(平成17)年度の授業料に
ついても、これを引き上げることはまったく考えておりませんでした。

 ところが、昨年末、文部科学省は来年度の授業料標準額を現行の52万800円か
ら53万5800円に引き上げることを突如通知してきました。国立大学が法人化さ
れたその年に、しかも新年度まで僅か4ヶ月を残すだけの時期に、まったく何の
前触れもなく、このような通知が送られてきたことに、私たちは大きな衝撃を
覚えざるをえませんでした。

 授業料の値上げは最終的には各大学で決定することになっておりますが、標
準額の引き上げにもかかわらず、授業料値上げを見送る選択肢はほとんど残さ
れておりません。なぜなら、国から交付される運営費交付金は、標準額による
授業料収入があることを前提に措置されているため、授業料値上げをしなけれ
ば、大学の収入はその分大幅に減少するからです。運営費交付金は平成17年度
から、効率化係数によっても大幅に減額されることになっており、それに加え
てさらなる新たな減額が加われば、本学財政はもはやそれに耐えていくことが
できません。

 こうした事情から、まことに遺憾ではありますが、文部科学省令が改定され
標準額の引き上げが決定された後に、学部、大学院の正規生の授業料引き上げ
を行わせていただきます。他方、運営費交付金の算定とは無関係である科目等
履修生、研究生の授業料については、これを据え置くことにいたしました。研
究生には留学生の比率が高いことも据え置きの理由の一つです。

 本学は財政面においてきわめて困難な課題を背負っております。しかし教職
員の知恵と総意を結集して、今後とも教育の質の向上と学習環境の改善に努め
ていく所存です。学生の皆さんには、以上の事情をご理解いただきますようお
願いいたします。