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新首都圏ネットワーク

『予算・授業料情報』No.35、2月23日の国会行動について(一参加者より)

                              2005年2月26日新首都圏ネット事務局

2月23日の国会行動について(一参加者より)

*衆議院文部科学委員会
 民主党の達増拓也議員の質問の中で国立大学の授業料問題についてふれた。達増議
員は国立大学法人化法案の議論の際の遠山文部科学大臣の発言「私としては、学生に
とって今回の法人化によって授業料が高くなってしまったり利用しにくくなったりと
いうことは、これは絶対避けなくてはいけません」を引き合いに出して、今回の突然
の国立大学授業料値上げの理由と妥当性をただした。中山文部科学大臣は、今回の改
定は、私立大学との格差是正などのために2年おきに行ったきた授業料改定の延長線
にあるもので独立行政法人化とは関係するものではなく、遠山大臣の答弁の主旨に反
するものでないと述べた。達増議員はさらに、政府の答弁で値上げをしないと言いな
がらすぐに値上げをするのは約束の不履行であり、私立大学との格差を問題にするの
ならば高等教育への支出をOECD諸国並みに引き上げるべきである、今後も授業料
問題は取り上げていくと述べた。
 今回の達増議員の質問は、民主党の質問のトップで教育基本法「改正」、学力向上な
ど多くの問題を取り上げたために、授業料問題について十分な時間が割けなかった
が、達増議員は民主党のネクスト・キャビネットの「文科相」であり、その議員の質
問という形で「授業料問題」が国会審議に乗ったということは、民主党の全般的な政
策の中に「交付金・授業料問題」が組み込まれたとものと認められ、その意味は大き
い。今後も授業料問題を追及するよう働きかけを続ける必要がある。

 授業料問題は達増議員の質問のみであった。
 質問者は中野、馳浩(以上自民)、河合正智(公明)、達増拓也、長島昭久、肥田
美代子、笠浩史、城井崇(以上民主)、石井郁子(共産)、横光克彦(社民)の各議
員であり、主な質疑事項は衆議院のホームページによると以下の10項目であった。
1.山梨県教職員組合の政治活動に関する警察等の捜査方針及び文部科学省の県教育
委員会からの状況把握
2.教職員に対する評価の必要性
3.芸術家等に対する社会保障制度を確立する必要性
4.教育基本法改正案を今国会に提出する見通し
5.多くの国立大学法人が17年度に授業料標準額の値上げを行うことの妥当性
6.義務教育費国庫負担金の減額が教育の地域間格差に及ぼす影響
7.学習指導要領の見直し及びゆとり教育の継続についての考えの有無
8.学校評価制度確立の必要性
9.不登校児童生徒の把握状況及びその対策の改善の必要性
10.学校への不審者進入防止等の安全管理の現状と強化の必要性
 この中で、6,7,10の問題が多くの質問時間を占めた。23日は、2月16日
の文部科学大臣の所信を受けての最初の質疑であり、議論がかなり総花的であった。

*衆議院予算委員会
 予算委員会の公聴会では国立大学に関連する話題は出なかった。なお、25日と2
8日に分科会が開催される予定。その後の予定は、地方公聴会を実施すれば、予算案
の衆院通過は3月3日以降となり、自然成立はなくなるが、見通しはたっていない。
参議院での議論を盛り上げるためには,自然成立させないことが重要である.

*討論・交流会
 傍聴行動の後で、衆議院第二議員会館で、国立大学関係予算・授業料問題討論・交
流集会が開催された。同会には、大学院生も含めた大学関係者11名に加えて2月1
5日に予算委員会で質問をした石井郁子議員と平野秘書、また今回の国会行動でいろ
いろ便宜をはかっていただいた加藤尚彦議員事務所の肥後秘書も参加された。話され
た主な論点は以下の通りである。
1.昨年末以降に急浮上してきた授業料問題は、問題点のわかりやすさもあり、意見
広告などもあり、国会質問が出る状態にまで盛り上げてきた。これにより、国立大学
の授業料は高すぎるという認識が国会議員の中でも広がっており、今後の国会での議
論を注目する必要がある。
2.予算については付帯決議をつけることもできず、組み替えを行うことは決して楽
ではないが、今後の衆議院文部科学委員会、参議院予算委員会、同文教科学委員会な
どで、より腰を据えた議論を行う必要がある。
3.授業料を含めてこの間我々が問題としてきた予算問題は、2月16日の国大協理
事会で述べられた「初期故障」のようなものではなく、法人の仕組みそのものに由来
することをを鮮明にさせるとともに、「初期故障」をなくす道筋を文部科学省との協
議に矮小化している国大協の姿勢を変えさせる。
4.文部科学省の授業料標準額の値上げ予定の通知に対して、詳細な財務分析をせ
ず、学生や教職員に対する説明も不十分なまま、安易に値上げをしようとしている多
くの 国立大学執行部の態度も批判されなければならない。
5.義務教育の国庫負担金減額の動きも国立大学の法人化と同じ構造と考えられるの
で、教育に対する国のあり方という点から共通する土俵で議論できる。また、私立大
学との格差是正論を打破するためにも私立大学との連携も重要。国立大学だけの問題
に閉じていたのでは限界があるので、広い視点から運動を進めることが必要。

以上