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新首都圏ネットワーク


『福島民報』2005年2月24日付

県、新年度5000万円寄付/福大理工学群の研究支援/水質浄化などテーマ
に/施策へ成果反映


 県は4月から学部再編後の1期生を受け入れる福島大理工学群の教育・研究
活動を資金援助する。新年度は5000万円を寄付金として交付し、地域に密
着した研究に活用してもらう。現段階の研究テーマとしては、県内の河川・湖
沼の水質浄化や自然エネルギーの導入促進などを想定。昨年4月に法人化し、
大学間競争で独自性を求められる福島大の取り組みを後押しするとともに、研
究成果を行政施策に反映させる。県が県内の大学に寄付金を交付するのは初め
て。

 23日に開かれた2月定例県議会の代表質問で、県民連合の渡部譲議員(会
津若松)の質問に、内堀雅雄企画調整部長が「県の施策推進に寄与する(福島
大の)教育研究活動に対して支援していく」との考えを示した。

 県と福島大は、資金を活用した研究テーマとして「自然共生型流域圏再生研
究」を掲げている。4月までに大学内の理工系を中心とした15人程度の研究
チームを発足させ、事業に着手する。

 具体的には、阿武隈川や猪苗代湖をはじめとした県内の河川・湖沼の水質浄
化技術を探る。水中の有機物を分解する微生物を発見し、増殖する仕組みを検
討。さらに絹や羊毛といった繊維を改良し、水中の汚染物質を吸着させる技術
の開発に取り組む。

 このほか、発電施設を含めた効率的な風力発電システムを研究。県内の風の
通過ルートを調査し、発電に適した地域での普及に努める。大型電力を蓄電す
る仕組みも検討課題となりそうだ。

 県は新年度の目玉事業として、治水、利水、環境保全に一体的に取り組むた
めの総合的な水管理計画の策定を打ち出すなど、循環型社会の形成を最重点推
進分野に位置付けている。福島大の研究成果が実れば、実際に行政施策に取り
入れるとともに、製品化に結びつけることで新産業の創出につなげる。

 地方公共団体による独立行政法人への資金援助については、地域貢献などの
要件を満たしていることを前提に総務大臣の同意が必要となる。このため、県
は3月中に福島大の研究内容について総務省と協議し、同意を得る考え。

 福島大は昨年、国立大学法人に移行した。今年4月には念願の「理工系」学
群を開設し、2学群・4学類の新体制で新たにスタートする。同大事務局は
「県と連携して研究成果を挙げ、地域に還元させたい」としている。