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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』岡山版 2005年2月23日付

岡大新学長、3月16日選出へ


 岡山大学で、昨年4月の法人化後初の学長選びが進んでいる。これまでは学
内の投票で選出していたが、国立大学法人法の定めで、学外の委員を含む「学
長選考会議」が学長を決める方式に変わった。学内には「密室での学長選びは
非民主的」と、投票を求める声も根強く、同大の選考会議は23日にも、投票
を実施するかどうかなど学長の選考方法を決める。法人化で予算や人事などの
裁量権が拡大し、「リーダーシップと経営手腕」が求められる新学長は、3月
16日に選出される。

 河野伊一郎・現学長の任期が6月13日で満了する岡山大では今月9日の締
め切りまでに、6人の学長候補者が推薦されている。選考会議は、学長ら学内
の8人と、企業経営者や弁護士ら学外の委員5人の計13人で構成。学外の塩
飽得郎・中国銀行監査役が議長を務める。

 制度上は、選考会議だけでも学長を決定でき、関係者によると、学外の委員
からは「社長を決めるのに、投票をする企業はない」と、同会議主導の選考を
主張する意見も出た。一方で、投票を求める学内の意向に配慮を示す委員もい
るという。

 選考会議を中心とした学長選びは、選挙戦の加熱を防ぐ狙いもある。これま
での学長選では、学長候補の教授が、学内の各研究室を「あいさつ」して回っ
たり、特定の候補者を中傷する文書が出回ったりしたこともあったという。

 理工系の教授のひとりは「旧態依然とした学内の人気投票はやめて、少人数
のドライな目で選ぶべきだ」と、トップダウンの学長選びを主張する。一方、
医学系の教授は「徹底した人選のもとで、トップダウンで学長を決めるのなら
ば異論は無いが、選考会議にそこまでの取り組みは見られない。今回は投票を
すべきだ」と話す。

 投票を実施する場合、岡山大は、選挙色を薄める目的で、今回の学長選から
投票を「学内意向聴取」に呼び変える。投票資格者は、講師以上の「教育職員」
に限られていたが、今回からは課長級以上の一般職員、医療職員も投票できる
ようになる。投票資格者数は約1千人で、従来の制度よりも60人余り増える。

 同会議委員のひとりは「投票を実施したとしても、あくまでもひとつの資料
として扱う。選考会議の責任で決めるのが大原則だ」という。一方、岡山大職
員組合委員長の中富公一・法学部教授は「投票を実施したうえで、選考会議は
結果を尊重してほしい」と求めている。