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新首都圏ネットワーク


『2005年度大学関係政府予算案・授業料問題情報』(略称『予算・授業料情報』)
No.31=2005年2月21日発行

「剰余金」については、財政情報公開の上、現場における来年度繰り越し措置
がとられるべきである

国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局


 今、教育・研究の少なくない現場で、「剰余金が出ると没収されるから、と
にかく使え」などいう“方針”が大学事務局サイドから指示されているという。
だが、この「剰余金」なるものは、その大部分が今年度の極端かつ異常な節約
方針を余儀なくされた結果、発生したものである(本ネットワーク開催の「大
学財政危機打開をめざす国会内ポスターセッション」
http://www.shutoken-net.jp/041208_1jimukyoku.html  等を参照されたい)。
従って、もし今年度において剰余金が発生しても、それは一過性のものであろ
う。

 本『情報』No.29で紹介した『剰余金の翌事業年度への繰り越しに係る
文部科学大臣の承認等について』という04年10月28日付通知(16文科
高第551号)によれば、「国立大学法人においては、当該年度に行うべき事
業を予定通り行えば基本的には収支均衡するものであり、このように行うべき
業務を予定通り行った場合であって剰余金が生じたときには、国立大学法人の
業務運営の効率化等の結果とすることが妥当であり、行うべき事業を行わなかっ
た場合に限り、当該事業に相当する運営費交付金債務は、負債のまま翌事業年
度に繰り越されることとなる。」という方針が明文化され、具体的な措置も提
示されている。要するに、行うべき業務を予定通り行った場合に生じた剰余金
は業務運営の効率化等の結果と判断され、次年度に繰り越すことができるとい
うことである。この方針は自律的に運営・経営を行うためには不可欠であり、
教育研究の現場から大学本部に至るまで保証されなければならない。今、少な
くない大学で出されている現場からの剰余金没収方針は、04年10月28日
付け文科省通知(16文科高第551号)に明瞭に反し、部局や現場の財政運
営能力を削ぐものである。

 いうまでもなく剰余金発生の根拠は厳密に分析され、今後の経営方針に活か
されるとともに、努力の結果発生した剰余金そのものは来年度の経営に効果的
に用いる態勢が必要である。そのためには、財政情報を公開・共有の上、剰余
金が会計の基礎となっている部局財政、本部事務局財政として繰り越すことが
できなくてはならない。そうしてこそ、現場から大学全体まで自律的な財政運
営能力が築き上げられるのである。