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新首都圏ネットワーク


時事通信配信記事 2005年2月17日付

教員養成学部の定員増加へ=「ベビーブーム」組が大量退職−文科省


 ベビーブームに伴う児童生徒の急増に対応して大量養成された教員が間もな
く定年退職し、近畿圏を中心に深刻な教員不足となる見通しを受け、文部科学
省の調査研究協力者会議は16日、これまで20年にわたって維持されてきた
教員養成学部の定員抑制方針を撤廃することに大筋で一致した。文科省は同会
議が近くまとめる報告書に基づき年度内にも関係告示を改正、来年4月の定員
増に向けた大学側の申請を受け付ける方針。

 第2次ベビーブーム(1971〜74年)までに生まれた子どもに対応でき
るよう、教員養成学部は66年度から80年度にかけて計約5000人の入学
定員増が行われた。しかし、子どもの増加傾向が一段落した84年、教員養成
学部の定員は医学部、歯学部などとともに抑制することになった。

 その後、87年度から段階的に進められた教員免許の取得を卒業の条件とし
ない学部への改組や、少子化の進行を受けた98年度から3年間の定員大幅削
減などで、一時は2万人だった教員養成学部の入学定員は現在1万人となって
いる。

 こうした定員抑制策によって近年30%台を低迷していた教員就職率は50
%を超えるレベルまで回復。一方、定員が多かった時代に採用された教員は間
もなく定年退職を迎えるため、2007年度からの退職者は毎年1万人を超え、
ピークの18年度には年間で2万5000人が退職することになる。このため、
近畿圏などの都市部を中心に、数年後には教員が不足する事態が予想されてい
る。

 協力者会議は、定員抑制方針を撤廃する方向ではほぼ一致した。しかし、少
子化傾向が続いた場合、いずれまた教員過多となって教師になれない教員養成
学部出身者が増えることへの懸念もあり、今後1カ月程度かけて定員増を認め
る場合の留意点などをまとめる。(了)