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『朝日新聞』2005年2月16日付 教員養成学部の定員抑制を撤廃へ 20年ぶりに転換 文部科学省の調査研究協力者会議は16日、教員を養成する教育学部などの 入学定員について、これまで約20年間続いた抑制方針を転換することを決め た。今後、膨大な数の教員が定年退職するうえ、少人数学級の編成で教員需要 が高まることで、小中学校の教員が不足するため。これを受け、文科省は今年 度中にも告示をして抑制を撤廃する方針。 文科省の調査によると、全国の公立小中学校で今年度末に定年を迎える教員 数は約7700人。これが、07年度末には約1万4000人にのぼり、18 年度末には約2万5000人でピークに達する見込みだ。 教員の年齢構成がいびつな状態になったのは、第2次ベビーブームで誕生し た子どもたちが小中学校に入学した80年代ごろに大量に教員を採用したため。 この反動で84年、教員は計画的に養成する分野に国から指定され、人数を増 やさない方針が決まった。 この影響で、教員就職率は低下し、国立大学では、87年度から教員養成課 程の定員を他の分野に振り分ける動きが始まった。当時、約2万人だった同課 程の定員は、少子化の影響も加わって今年度は47大学で計約1万人まで半減 している。 しかも、ベビーブーム以前に都市流入による人口急増があって一時期教員を 大量採用した首都圏や近畿圏など大都市周辺では、すでに教員不足が始まって いる。00年度と今年度を比べると、埼玉県で4倍近い1145人を採用。大 阪府では6倍近い1755人で、東京都も2倍を超える2227人、愛知県で 約2.5倍の1401人などとなっている。 文科省は、既存の教育学部の定員増だけでなく、私立も含めて新たに教育学 部を設置することも認める方針だ。 |