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新首都圏ネットワーク


『読売新聞』2005年2月12日付

国立大授業料、1万5千円上げ大勢も初の格差


 国立大の年間授業料の「標準額」が今春、52万800円から53万580
0円に1万5000円引き上げられることに伴い、全83国立大学のうち、4
3大学がすでに標準額通りの値上げを決定したことが11日、読売新聞の調べ
で分かった。

 24大学が同額の値上げを検討中のほか、据え置きや値上げ幅を抑える大学
も登場。少子化を背景とした大学の生き残り競争が激しさを増す中で、横並び
主義でやって来た国立大の授業料に、初めて格差がつくことになった。

 調査は1月31日現在で、各大学担当者に値上げの有無やその理由、授業料
の徴収方法などを聞いた。

 それによると、今春から授業料の53万5800円への値上げを決定したの
は東大や一橋大、大阪大など。名古屋大や京都大なども同額の値上げを検討し
ている。

 教育研究の基盤整備のために国から交付される「運営費交付金」が削減傾向
のため、大半の大学は「値上げしなければ、大学運営が困難になる」と、“苦
渋の選択”であることを強調。「据え置けば3億円近い減収。これは助教授3
0人分の人件費にあたり、学生サービスの維持が困難になる」(大阪大)など
と、具体的な数字を挙げて理解を求めたところも目立った。

 これに対し、佐賀大は「減収分は教員数の削減などの経営努力でカバーでき
る」として、唯一、52万800円のまま据え置くことを検討中。愛媛大は
「貧しい家庭から大学教育の機会を奪うべきではない」として、今春は財源不
足を補える分に相当する9600円の値上げ幅にとどめた。

 このほか、小樽商科大は、値上げを後期納入分の7500円だけとし、前期
は据え置きに。東大も大学院博士課程については、「独立家計の学生や外国人
留学生が多い」と値上げを見送った。

 値上げするかどうかも含めて検討中のところは、東京工大やお茶の水女子大
など13大学だった。

 ◆標準額=国立大の年間授業料の目安となる値で、昨年春、国立大の法人化
に伴って導入された。各大学は標準額の10%まで授業料を値上げできるほか、
据え置きや値下げも可能になった。それまで、国立大の授業料は国が一律に定
めており、1975年度には3万6000円だった。近年は2年ごとに授業料
が値上げされている。