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新首都圏ネットワーク


http://www.cypress.ne.jp/wakumi/kurenai1281.htm

『くれない』1281号(2005年2月1日)

    専任教員5%削減計画に関し、説明責任の履行を求める

                             2005年1月31日

                    和歌山大学教職員組合執行委員会


 学長・経営側は、和歌山大学の専任教員を2004年度から06年度までの3年間で
5%削減する方針を突如として公式発表した。私たちは以下の理由からこの「教
員5%削減計画」に反対し、当面ただちにこの問題に関する全学構成員への説明
責任を果たすことを求める。

一、 専任教員を5%、3学部で14人前後も削減することは、大学としての教育・
研究能力を大幅に低下させる。

 すでに非常勤講師を2 年間で40%も削減する計画が実施されつつあり、教育・
研究費も大幅に削減された。これに加えての専任教員の5%もの削減は、教育・
研究サービスの面で学生・大学院生に多大な犠牲を強いることになる。その意
味で、この問題は単なる経営問題ではなく、教学に関わる重要問題である。

一、 教学問題であるにもかかわらず、5%削減計画は教学部門を担当する教育
研究評議会ではまったく審議されなかった。

 5%削減計画は2004年10月22日に学長・経営側の意志で決定された。それにも
かかわらず、たとえば教育学部の教授会で公式に発表されたのは1月になってか
らであり、一般の多くの教職員にはほとんど知らされていない。こうした非民
主的な政策決定と情報の秘匿は、「全学的な検討事項については、各組織での
議論を踏まえた合意形成に努めること。また、教授会の役割の重要性に十分配
慮すること」と定めた国会の附帯決議に反するものである。

一、専任教員の5%削減は、教職員に過大な労働を強いることにつながる。

 非常勤講師の大幅削減と相まって、この問題は教職員に対する不利益変更で
あり、労働問題でもある。和歌山大学教職員組合は「これ以上の人員削減は容
認できない」と反対を表明した(11月5日付「くれない」1973号)。それにもか
かわらず、学長・経営側は現在に至るまで、労働組合である和大職組および過
半数代表者に対して決定とその経緯を何ら公式に説明せず、理解を求めようと
はしてこなかった。これは労使間の信頼関係を損なう不誠実な態度であり、対
立と軋轢を自ら醸成するものである。

一、教員5%削減計画は安易な発想であり、経営方針の熟慮と経営努力の遂行を
経たものではない。

 いかなる事業所においても、正規従業員の削減は、徹底した不必要経費の削
減や歳入向上などの経営努力の後に、最後の手段として行われるものである。
法人化からわずか半年ほどで、教育・研究条件の悪化を招く専任教員をなぜ性
急に削減しようとするのか。しかも、法人化直前の2003年度以降、講師以上の
教員を合計21名も増員したのである(学長裁量を含む)。この採用自体に異議
は唱えないが、こうした大量採用と今回の「5%削減」とがどう整合するのか。
経営方針としては、あまりに振幅が激しく、無定見に過ぎる。

 どうしても教員を削減する必要があるのならば、まず経営と予算の全体計画
を提示し、かつ学部独自の方針を尊重して、その上で教員の削減が避けられな
いことを論証すべきであろう。それなしに、「始めに教員5%削減ありき」では、
どうして学内合意がえられるだろうか。

一、以上の点に関して、学長・経営側は全学の構成員に対して直ちに釈明し、
説明責任を果たすべきである。その上で、この教員5%削減計画を見直し、改め
て民主的かつ長期的な視点に立って人事方針を再提起すべきである。

 これまでも、説明責任の欠如と学内合意形成の不尽が指摘されてきた。法人
化の下でのトップダウン型の意志決定システムが、またしても軋轢を誘発した。
説明責任の履行と情報公開、学内合意形成のためのルール作りが早急に必要で
ある。われわれ労働組合は、和歌山大学の発展と、夢を語れる職場作りを進め
る立場から、必要な協力は惜しまないと同時に、理不尽な方針は断じて容認で
きない。