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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』新潟版 2005年2月5日付

新潟大、授業料値上げ


 新潟大(長谷川彰学長)は、新年度の授業料を52万800円から53万5
800円に値上げする方針を決めた。国が、国立大学の授業料の目安となる
「標準額」を1万5千円引き上げたことに伴う措置で、長岡技術科学大、上越
教育大も同様に値上げする。

 長谷川学長は昨年10月の会見で「授業料の増額は考えていない。経営上の
工夫のしどころはある」と話していた。同大は「会見後に標準額の引き上げが
決まった。授業料値上げは、学生サービスを維持するため、やむを得ない措置
だ」と説明している。

 国立大学は04年4月の独立行政法人化で、自由に授業料を設定できるよう
になった。

 しかし、国からの運営費交付金は、標準額をもとに算定されている。このた
め、もし、標準額以下の授業料にした場合、結果的に、大学の自主財源が少な
くなり、減収になる。同大によると、今年度、国からの運営費交付金は約17
6億円で、財源の43.5%を占めている。授業料を据え置くと、1億860
0万円の減収になるという。

 一方、新大職員組合は4日、県庁で会見し、「値上げは、教育の機会均等を
脅かす」として見直しを求めた。

 同組合によると、全国83の四年制国立大のうち、新潟大を含む24大学が、
標準額に合わせた授業料値上げを決めており、30大学が同様の方向で検討し
ているという。

 会見した同大の小林昌二教授は「事実上、一律の値上げに近い。何のための
法人化だったのか。苦渋の選択と言うなら、学生にきちんと説明すべきだ」と
述べた。

 教育人間科学部3年の男子学生(22)は「全然知らなかった。学生に分か
るように伝えてほしい。これからどんどん値上がりするのか」と、不安そうに
話していた。

 授業料値上げは志願者減少を招くなどとして、据え置きや段階的値上げを決
めた大学もある。

 佐賀大は「せめて受験生の出願までに値上げを通知すべきなのに、できなかっ
た」として、現行額のまま据え置く。愛媛大は「学生の財政負担を軽減すると
ともに、法人化1年目での標準額値上げへの抗議の意味も込めた」として、今
年度の値上げ幅を9600円と低くした。

 このほか、東京都内の11大学と、弘前、岩手、秋田の3大学が、それぞれ
連名で、値上げ反対や再検討を求める声明を発表している。