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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 237(2005.2.2 Wed)
http://letter.ac-net.org/number/237

━┫AcNet Letter 237目次┣━━━━━━━━━ 2005.2.2 ━━━━━━

【1】(37303) 国立大学法人法・意見広告の会 より2005年02月01日取得
  「意見広告の会ニュース 号外10」
  http://www.geocities.jp/houjinka/
掲載予定紙面 => http://www.geocities.jp/houjinka/simen.html
1月30日時点での賛同金 2,118,886円(目標額 12,000,000円の 1/6)

【2】(37579) 首都圏ネットワーク より2005年02月01日取得
  「授業料値上げ反対の『意見広告』から国会へ新たな空気を送り込もう」
  http://www.shutoken-net.jp/050201_8jimukyoku.html

【3】(37580) SciComNews より2005年02月01日取得
  「[SciCom News] 速報版 No.69 編集後記
【人材育成のコストを負担するのは誰か】」
  http://blog.melma.com/00106623/20050131122318

【4】(37655) 全国国公私立大学の事件情報 より2005年02月02日取得
 「2006年問題」に関する文部科学省への要請書(2004年6月21日)
大学評価学会・国連社会権委員会2006年問題特別委員会
  http://university.main.jp/blog/youseisyo01.html

【5】(37581) 国立大学独立行政法人化問題週報書庫 より2005年02月01日取得
  「(文献紹介)市川昭午「高等教育の変貌と財政」玉川大学出版 2000.3」
  http://ac-net.org/wr/voices/01910-tjst.html#[67-9]

━ AcNet Letter 237【1】━━━━━━━━━━ 2005.2.2━━━━━━━━

 意見広告の会ニュース 号外10
  http://www.geocities.jp/houjinka/

  From:国立大学法人法・意見広告の会
(http://www.geocities.jp/houjinka/ )
  取得時:2005年02月01日08時 URL: http://ac-net.org/rss/item/37303
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Date: Tue, 01 Feb 2005 00:54:07 +0900

*「意見広告」掲載は、2月3日に迫りました。

*「意見広告」の内容

・見出し

私たちは文部科学省の主導による
国立大学授業料の値上げに
反対します。

・大きな字

「国立大学の授業料は法人の裁量で決定できるかのようになりました。しかし
その実態は、文科省が値上げ予定の授業料標準額をもとに各法人に手渡す運
営費交付金を決定するというシステムになっています。国立大学は、授業料
を値上げしなくても、その分の運営費交付金を減らされてしまうのです。」
(以下の説明・主張は略)

・説明のため3種の図表を用いています。

*可能な限り、2月2日までに、HPで「意見広告」新聞掲載版のアップを予定
しております。

*募金の集まりに不安があります。
この「意見広告」は、全国的に展開されている唯一の「授業料値上げ反対運動」
です。以降の国会活動のためにも、「大きな成功」へのご協力をお願い申し上げ
ます。

*以下の方々が「新聞紙上掲載呼びかけ人」となりました。

<呼びかけ人>
新聞掲載呼びかけ人:計117名

(北見工業大学)照井日出喜
(北海道大学)姉崎洋一 在田一則 加藤幾芳 神沼公三郎 中村郁 
林実樹廣 渡邉信久
(弘前大学)佐藤公彦 奈蔵正之
(岩手大学)高塚龍之
(秋田大学)佐藤修司 進藤伸一
(東北大学)清水肇 長谷川浩司 林野友紀
(福島大学)西内裕一
(茨城大学)西野由希子
(筑波大学)鬼界彰夫
(群馬大学)近藤義臣
(千葉大学)伊藤谷生 小沢弘明 栗田禎子 三宅晶子
(東京外国語大学)岩崎稔 水林章
(東京芸術大学)渡辺健二
(東京学芸大学)大矢タカヤス 平野具男 藤本光一郎
(自由の森学園)増島高敬
(お茶の水女子大学)米田俊彦
(筑波大学附属高校)鈴木亨
(首都圏非常勤講師組合)志田昇
(東京大学)浦辺徹郎 小野拡邦 小野塚知二 川本隆史 神野志隆光 
  空閑重則 小森陽一 佐藤比呂志 代田智明 醍醐聰 田端博邦 野村剛史 
  蜂巣泉 横山伊徳
(慶應義塾大学)加藤万里子
(東京農工大学)尾関周二 亀山純生
(東京工業大学)赤池敏宏
(一橋大学)鵜飼哲 坂元ひろ子
(横浜国立大学)伊藤貴宏
(新潟大学)小林昌二 立石雅昭 谷本盛光 成嶋隆 野中昌法 
  世取山洋介 渡辺勇一
(富山大学)浜本伸治
(金沢大学)鈴木恒雄 西田美昭 森茂 山本敏郎
(信州大学)久保亨
(山梨大学)豊木博泰 安井勝
(都留文科大学)後藤道夫
(岐阜大学)寺島隆吉
(愛知教育大学)子安潤
(愛知県立大学)伊藤稔明 山口俊雄
(名古屋大学)池内了 植田健男 神山勉 河合崇欣 北川勝弘 
  小林邦彦 高倍鉄子 椿淳一郎
(三重大学)山中章
(京都大学)岡田知弘 駒込武 間宮陽介
(大阪大学)中野元裕 中村聡 柳沢 淳一 山縣恒明
(奈良教育大学)生田周二 平賀章三
(島根大学)廣嶋清志
(岡山大学)白井浩子
(広島大学)佐藤清隆
(山口大学)牧野哲 溝田忠人
(愛媛大学)赤間道夫 松野尾裕
(松山大学)大内裕和
(高知大学)古川泰
(九州大学)坂内悦子 吉田正章
(九州工業大学)栗山次郎
(佐賀大学)豊島耕一
(大分大学)中野昌宏 松尾孝美
(宮崎大学)橋本修輔
(鹿児島大学)水上惟文
(琉球大学)永井實
(一般)湯淺精二
(元外交官)天木直人
(作家)赤川次郎 森村誠一

(計117名:2005/02/01 現在)

<意見広告要領>

掲載紙
毎日新聞 2月3日朝刊 7段
読売新聞 2月3日朝刊 7段
 「7段」は新聞紙面半面です。

掲載日
2月2日に国立大学各校の入学願書が締め切られ、各紙は3日にその結果を掲載
します。国立大学に人々の耳目が最も集まる日と言えます。また、国会で予算審
議が行われており、審議に影響を与える意味で最良の時期と言えます。

掲載費用=募金目標
1200万円
 「新聞掲載費用+広告デザイン費用+消費税+少額の事務費用」です。
詳細な各紙あたりの値段は商取引上の信義として、ここに示すことはできないこ
とをご理解下さい。

募金方法
1口2000円 (できる限り複数口をお願い致します。)
        (学生など定収のない方々は、おいくらでも結構です。)

募金口座
 ご注意 2003年「法人法案」意見広告口座をそのまま使用しています。

◎郵便振替口座 
口座名  「法人法案」事務局 
口座番号:00190-9-702697

◎銀行口座 東京三菱銀行 渋谷支店
口座番号:3348763
口座名 法人法案事務局 (ホウジンホウアンジムキョク)

*銀行口座の場合は、募金者の把握が十分にできません。
 必ずメールで以下のアドレスに 「○月○日 ○口振り込み」というご連絡をお
願いします。また、郵便振替の場合は、振り込み用紙通信欄にメールアドレスの
ご記入をお願いいたします。このご連絡が無いと、以降にご連絡を差し上げられ
ません。

「意見広告」振り込みのご連絡は、
houjinka at magellan.c.u-tokyo.ac.jp
にお願い致します。

※ご意見等は以下のアドレスまでお寄せください。 
qahoujin at magellan.c.u-tokyo.ac.jp

━ AcNet Letter 237【2】━━━━━━━━━━ 2005.2.2━━━━━━━━

 授業料値上げ反対の『意見広告』から国会へ新たな空気を送り込もう
  http://www.shutoken-net.jp/050201_8jimukyoku.html

  From:首都圏ネットワーク ( http://www.shutoken-net.jp/ )
  取得時:2005年02月01日22時 URL: http://ac-net.org/rss/item/37579
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1月31日付け本事務局の声明でも述べているが、『国立大学法人・意見広告の会』
が、授業料値上げに反対する意見広告を2月3日付新聞に掲載するために活動を開
始した(http://www.geocities.jp/houjinka/)。そして、わずかの期間に、呼び
掛け人として、作家の赤川次郎氏、森村誠一氏、元外交官の天木直人氏の外、全
国47大学(私立も含む)から計111名が呼びかけ人に結集している。学生自治会レ
ベルでの意見広告への取り組み協力をはじめ、意見広告への賛同の声が急速に拡
がりを見せている。

一昨年の国立大学法人法案の審議の際に数回にわたって打たれた意見広告は、国
会での議論に大きな影響を与えたことは記憶に新しい。おりしも来年度予算を審
議する臨時国会が開かれている。まもなく予算委員会での審議にはいり、衆院文
部科学委員会、参院文教科学委員会での審議も2月中旬には行われるであろう。国
立大学法人法をめぐる国会での文部科学大臣の発言や付帯決議がいかに簡単に反
古にされたかということ、授業料の値上げが1%の効率化係数や2%の経営改善係数
に続く第三の経費削減の方策であることなどが明らかにされれば、国会での議論
は盛り上がりを見せるであろう。そうすれば、今回の文科省の授業料値上げを見
込んだ予算案が修正される可能性もある。また、予算案の審議に時間がかかり、
文科省の省令改定が3月31日より遅れれば4月1日からの値上げ実施は阻止すること
ができる。

 2月2日に国立大学の入学願書が締め切られる。2月3日の朝刊には、各国立大学
の応募状況が大きな紙面に掲載されるだろう。多くの人々の目が国立大学に向く
ときに、授業料反対の意見広告は大きな影響を与えることは確実である。これに
勢いをえて、さらなる意見広告を出すことができれば、必ずや国立大学をめぐる
空気は変わるであろう。その前提となる、2月3日の授業料値上げ反対の『意見広
告』成功を目指して、全国の一人でも多くの方々の協力を、改めて要請するもの
である。


━ AcNet Letter 237【3】━━━━━━━━━━ 2005.2.2━━━━━━━━

[SciCom News] 速報版 No.69 編集後記
【人材育成のコストを負担するのは誰か】
  http://blog.melma.com/00106623/20050131122318

  From:SciComNews ( http://blog.melma.com/00106623 )
  取得時:2005年02月01日23時 URL: http://ac-net.org/rss/item/37580
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●編集後記【人材育成のコストを負担するのは誰か】

■本メルマガでもお伝えしていますが、国立大学法人の授業料が1万5千円前後値
上げされます(1)。

■一部の大学では上げ幅を少なくしたり、東大のように大学院生の授業料を据え
置くところもあるようですが、値上げの流れは押しとどめられません。

■サイコムジャパンではかねてより奨学金問題を中心に、大学院生の経済問題に
焦点を当てて、各種メディアに投稿などをしてきました。授業料は学生にとって
は大きな負担であり、今回の値上げ問題には私達も非常に気になっています。そ
こで、今回の学費値上げに対し思ったことを書いてみたいと思います。なお、以
下の記述は大学院生(主に理工系)を想定しています。

■アメリカなどのように、学費は非常に高いけれど、その分奨学金(基本的に給
与制)が手厚いであるとか、ドイツなどのように、学費を基本的にゼロかそれに
近い低額にするとか(もっともそのドイツでさえ学費を値上げするようです
が)、方法はいろいろありますが、諸外国は学生の経済的な問題に対し、それぞ
れの考えに基づいて必要な対策を採っているように思います。

■もちろん、諸外国が問題ないということはなく、ドイツでは学生をしていたほ
うが得ということで、長い間学生をする者が多いといいますし、アメリカでも全
員が奨学金をもらえるわけではありません。

■それを理解した上であえて言うならば、日本の学生支援策は中途半端でちぐは
ぐな印象を否めません。学費は50万円程度で年々値上げされ、私立大学との格差
は縮まる一方ですし、一方で奨学金は基本的に貸与制で希望者全員が取得でき
ず、金額も月額10万円程度と、学費と生活費をまかなうには不十分です。

■近年ティーチングアシスタント制度(TA)等が整えられつつある印象を受けま
すが、TAの金額は学費に匹敵しないお小遣い程度の金額だといいます。しかも、
TAを受けると授業料免除が受けられなくなり、かえって負担が増加してしまっ
た、という馬鹿げた話を聞いたことがあります。

■日本の制度は基本的に学生の親の経済力に頼る方針であり、日本学術振興会特
別研究員など一部を除いて学生が自活する道が限られているのが現状です。要は
人材育成という、国の根幹にもかかわる重要な施策のコストの多くを民間に任せ
るという、諸外国にない特徴を持っているように思います。

■ならば、民間が人材育成のコスト負担を快く受け入れているかというと、どう
もそうでないようです。民間は大学の卒業生に対しさまざまな注文をつけます
が、例えば奨学金を積極的に出すなどして、人材育成のコストを負担しているわ
けでもないようです。教育ローンという手段もありますが、やはり親の収入が基
準に入り、厳しいのが現状のようです(2)。ただただ負担は家庭にかかってき
ます。これでは優秀な学生が研究者になるのを躊躇するのは当然です。人材は医
学部と法科大学院、ネットベンチャーに奪われるか、外国に流出するだけでしょう。

■これでよいのでしょうか?産官が、人材育成に関するコストや手間を十分負担
しようとしないまま、産学連携やら科学技術創造立国やらあれやこれやと注文だ
けつけるというのはきわめて不自然で異常なことなのではないでしょうか?

■人材の育成には手間暇カネがかかります。誰かが本気で取り組まなければなり
ません。それを抜きにしてたまたま出てきた優秀な人材のつまみぐいだけしてい
るのが、この国の研究者教育の現状のように思います。

■今回の学費値上げをきっかけに、人材育成のコストを誰が負担すべきか、議論
が起こることを期待しています。

(1)この問題の詳細は以下のページがまとまっている。新首都圏ネットワーク
http://www.shutoken-net.jp

(2)元社会人はお断り?学生が借りられない教育ローン
http://allabout.co.jp/study/adultedu/closeup/CU20021124B/

無収入の学生も対象?教育ローン
http://allabout.co.jp/finance/loan/closeup/CU20040324A/index.htm

━ AcNet Letter 237【4】━━━━━━━━━━ 2005.2.2━━━━━━━━

 「2006年問題」に関する文部科学省への要請書
  http://university.main.jp/blog/youseisyo01.html

  From:全国国公私立大学の事件情報 ( http://university.main.jp/blog/ )
  取得時:2005年02月02日00時 URL: http://ac-net.org/rss/item/37655

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要請内容

1.日本国憲法第98条に基づき、国際人権規約の内、社会権規約第13条2項(c)
の「高等教育における無償教育の漸進的導入」に対する日本政府の国際連合「経
済的、社会的および文化的権利に関する委員会」への回答(2006年6月30日が回答
期限)に向けて、早急に具体的な協議および措置を講ずることを求めます。

2.日本国憲法第98条に基づき、国際連合「児童の権利に関する委員会」が、
2004年1月30日に日本政府に対して行った勧告第50項(a)への回答(2006年5月31
日が回答期限)に向けて、早急に具体的な協議および措置を講ずることを求めま
す。

2004年6月21日
大学評価学会・国連社会権委員会2006年問題特別委員会
(略称;2006年問題委員会、委員長・田中昌人)

要請趣旨

大学評価学会は、下記の要請に関する事項を「2006年問題」として学会内に特別
委員会を設けて、緊急的課題として取り組んでおります。

一つは、1966年12月16日に国際連合総会において採択され、日本では1979年9 月
21日に発効した国際人権規約の「経済的、社会的および文化的権利に関する国際
規約」の内、第13条2項(c)の高等教育における「無償教育の漸進的導入」につ
いて、日本政府が、それに「拘束されない権利を留保する」としていることに関
して、2001年8月31日における国際連合の「経済的、社会的および文化的権利に関
する委員会の最終見解―日本―」は、「拘束されない権利の留保の撤回を検討す
ることを要求する」として日本政府に対し2006年6月30日までに回答を求めている
問題です。

関連するいま一つは、国際連合の児童の権利委員会が、日本における「過度に競
争的な教育制度の改革」を行い、「高校を卒業したすべての者が高等教育に平等
にアクセスすることを確保する」ように求めて、2004年1月30日に行った勧告に対
して、日本政府に2006年5月31日までに回答を求めている問題です。

この期限に向けて、日本政府および文部科学省が勧告に基づいて各方面に広く意
見を求め、協議を行い、その経過を公表し、具体的な措置を講ずることを求めま
す。第一の件に関しては、1984年の日本育英会法の制定に際しても衆参両院文教
委員会の各付帯決議において「諸般の動向をみて留保の解除を検討すること」と
されています。以来、20年が経過し、今日、学費の負担が高等教育を受ける機会
均等を損なう教育上の差別を生ずるまでになっており、「無償教育の漸進的な導
入」に基づく政策の具体化は、世界人権宣言第26条、国際人権規約の社会権規約
第13条、児童の権利に関する条約第28条、第29条を誠実に履行し、日本国憲法第
14条、第26条、教育基本法第3条、第10条、第11条を生かす上で不可欠の事項になっ
ていると考えます。 


━ AcNet Letter 237【5】━━━━━━━━━━ 2005.2.2━━━━━━━━

(文献紹介)市川昭午「高等教育の変貌と財政」玉川大学出版 2000.3
 http://ac-net.org/wr/voices/01910-tjst.html#[67-9]

 From:国立大学独立行政法人化問題週報 ( http://ac-net.org/wr/ )
 取得時:2005年02月01日23時 URL: http://ac-net.org/rss/item/37581
────────────────────────────────────
[67-9](文献紹介)市川昭午「高等教育の変貌と財政」玉川大学出版2000.3
http://www.tamagawa.ac.jp/sisetu/up/isbn/isbn4-472-40141-X.html
http://www.shutoken-net.jp/nethe3477.htm

[67-9-3]「私立大学民営化論」第7章 大学の財政と設置形態

「参入親制撤廃論 p142

エコノミストのなかには私立大学は非営利の建て前と一律機関補助であることか
ら,効率的経営を行うインセンティブが乏しいとして,機関補助を個人補助に切
り替えるとともに,利潤分配の禁止規制を廃止し,長期的には営利法人の参入を
認めるべきだと提言する人もいる.・・・・

営利企業による大学経営はけっして荒唐無稽な絵空事ではない.すでにアメリカ
で急速な発展をみており,年商35億ドルのビジネス産業に成長してい
る.・・・・営利型大学の利点としては・・・・教育二一ズに敏感になり効果的
な教育が行われること,大幅に税金に依存する既存型大学に対抗するために能率
的な経営がなされること,・・・・資金を市場で調達できるため労働需要の変化
などに敏速に対応できること,・・・・補助金をはるかに上回る税金を納入して
いる点で納税者負担を軽減すること,などが挙げられている。

しかし,次の段階になると,営利型大学も公費補助を要求するようにな
る.・・・・しかし、営利型大学学生への奨学金が非営利型大学学生に対するそ
れに近づくにつれて,納税者に面倒をかけないという営利型大学の謳い文句は効
力を失ってくることになる.

わが国でも福祉事業にはすでに営利企業の進出が認められているし,病院等につ
いても規制緩和が検討されている.高等教育においてもその一部と認められつつ
ある専門学校については,設置者が学校法人でなければならぬという縛りがな
い.こうした状況からみて,大学だけが例外でいられるという保障は乏しいとい
わねばならない.

・・・・経済的な効率性という観点からみるかぎり,広義の行政機関である国立
大学よりは学校法人である私立大学の方が,また非営利法人である私立大学より
は営利法人である高等教育機関の方が優れているということになりそうである.
しかし,だからといって,国立大学を私立大学化し,学校法人を営利法人化して
いけばよいということにはならない.

周知のようにヨーロッパ諸国ではほとんどの大学が国立か公立だし,市場化を主
張するエコノミストがモデルと仰ぐアメリカでも公立大学が圧倒的なシェアを占
めている.こうした事実は大学が効率性の原理だけで運営されているのではない
ことを示している.どこの国でも大学に非営利法人の地位を付与したり,公費補
助をしているのは,大学には消費者を喜ばせる以上の使命があると考えられてき
たからであり,その教育や研究を消費者の選択に任せきりにしておくのは適切で
はないという社会的判断があったからである.市場化で問題が解決するのであれ
ぱ,そうした配慮は必要なかったはずである.大学は経営問題を有するにしても
あくまでも教育研究機関であり,教育サービスを売る企業ではないのである.

ボールディングは「非効率の礼賛」と題した論文で,経済学者として大学運営効
率化の必要性を認めながらも,それがすべてではなく,人間的な効率が大切だと
いう見地から次のように述べている.「大学の余計なものや非効率は人間活動の
究極的な生産物の一部であり,生きていく理由でもある.大学を狭い意味で効率
的にするのは社会に対する最もひどい仕打ちになるかもしれない」

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