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新首都圏ネットワーク

授業料の引き上げの見送りを求める要望書


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国立大学法人山形大学長                2005年2月1日
仙道 富士郎 殿

安易な授業料値上げに反対する
ム本部企画経費の抜本的削減による減収分の吸収を−

山形大学職員組合

 政府文部科学省は、国立大学標準授業料を現行年52万800円から1万5000円引
き上げて、年53万5800円とすることを決定した。この標準額の引き上げにより、政
府文部科学省から各国立大学法人に配分される運営費交付金は、平成17年度以降は、相
当額が減額されることになると伝えられている。このため、本学執行部も、収入確保の目
的で政府予算案の成立を待って、標準授業料の改訂に沿って平成17年度授業料の1万5
000円の引き上げを行うことを決定した。
 しかしながら、昨年4月1日の国立大学の法人化により、各国立大学の授業料は、標準
授業料の+10%を上限として自主的に決められることになった。各国立大学は、文部科
学省による標準授業料の引き上げに、必ずしも従う義務はなくなった。事実、佐賀大など
いくつかの国立大学は、平成17年度の授業料値上げの見送りを表明したと伝えられてい
る。たしかに、本学において、標準授業料引き上げに相当する運営費交付金の削減額は1
億円程度と見られ、理学部配分教育研究費の年間総額にも匹敵し、無視できない額である
。しかしながら、それは、逆に本学全体の教育研究費年間総額から見れば3%程度であり
、本学の経営努力によって吸収不可能な額ではないと考える。不要不急の企画や横並びの
企画、あるいは、費用対効果の疑わしい企画に投入されている莫大な本部経費を抜本的に
削減し、少額物品購入へのインターネット利用や競争入札を導入するなど、さまざまな経
営努力をすれば、各教員に配分される教育研究費へのしわ寄せをせずとも、この1億円程
度の減収を補う支出の削減は可能であると考える。
 国民の収入は、何年にもわたる不況の中にあって、向上するどころか減少が続いている
。加えて、社会保険料の引き上げや、諸税の引き上げにより、国民の可処分所得は減少の
一途を辿っている。とくに山形県を始め東北地方の家計収入の低迷は深刻である。こうし
た中にあって、現在でも家計が支えきれないほどの高額な授業料を更に引き上げるならば
、本学進学希望者の進学断念や本学学生の過重なアルバイトによる学業不振といった深刻
な事態も危惧される。また、在学生の授業料値上げは、学生・大学間の教育提供に関する
契約の大学による一方的不利益変更であり、道義的にも問題なしとはいえない。
 国立大学の存在意義は、相対的に安価な授業料による良質の教育の提供で、国民の高等
教育を受ける権利を保障することにある。この国立大学としての使命の原点に立ち返り、
標準授業料の引き上げに安易に追随するのではなく、大学としての経営努力をこそまず行
うべきだと考える。
 本組合は、この際、学長をはじめとする大学執行部に対して、自らの経営努力によって
平成17年度授業料引き上げを見送ることを強く求める。同時に、政府文部科学省に対し
ては、教育の機会均等を保障するよう標準授業料の引き上げ案を撤回し運営費交付金を減
額しないこと、日本における高等教育費を欧米先進国並のGDP1%に引き上げること、を強
く求めるものである。