トップへ戻る   以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』愛知版 2005年1月30日付

東海の6国立大 授業料1万5千円上げ検討
4月から


 国立大学の年間授業料の目安となる「標準額」が4月に引き上げられるのに
伴い、東海3県の六つの国立大も授業料を標準額に値上げする見通しだ。昨年
4月の法人化で、各大学は自由に授業料を設定できるようになったが、国の運
営費交付金が削減される中、財源確保ができないことなどが値上げの理由だ。

 05年度政府予算案では、三位一体改革に伴い、「標準額」を1万5千円増
の53万5800円に引き上げて受益者負担を増やす。一方で、運営費交付金
は05年度から5年間で1%ずつ減らす。

 文部科学省によると、東海3県の国立大の05年度の運営費交付金の予算案
は、名古屋大が5億円増のほかは、岐阜大12億1千万円減、三重大5億6千
万円減、名古屋工業大、愛知教育大2億7千万円減、豊橋技科大1億6千万円
減といずれも減る見込みだ。名古屋大も増えたのは特定の教育プロジェクトな
どへの交付金で、目的を限定されず、教育環境整備などに自由に使える交付金
は今年度に比べ、9億円減っているという。

 名古屋工業大、愛知教育大、豊橋技科大、岐阜大、三重大は授業料を標準額
に引き上げる方向で検討している。名古屋大は検討中だが、やはり標準額にな
る方向だという。

 「小さな大学では、経営効率化にも限界がある。職員の給与や教育研究費を
減らし、本体が揺らぐようではいけない」

 愛知教育大の松田正久理事は、苦渋の選択だと話す。減額された運営費交付
金のうち、1億1千万円は目的を限定せずに使えるもので、従来、学生の福利
厚生や大学の運営管理に充てていた。「いくら工夫しても、補填(ほてん)で
きない」といい、説明会を開き、値上げについて学生や父母の理解を得たいと
いう。

 ほかの国立大も、「運営費交付金削減の中、財源確保ができない」(岐阜
大)、「現在の教育レベルを維持していくためには値上げが必要」(三重大)
などとしている。