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  新首都圏ネットワーク



2005年1月21日
国立大学法人金沢大学
学 長   林 勇二郎殿

                金沢大学教職員組合執行委員長 田崎和江

         授業料標準額の値上げに対して反対の声を!


 貴職におかれましては、日頃より教職員組合の諸活動に対して深いご理解を
いただいておりますことを感謝申し上げます。

 さて、ご存じのことと思いますが、財務省が12月20日に発表した来年度
予算原案において、国立大学授業料標準額を15,000円引き上げて、53
5,800円とすることが盛り込み、文部科学省は12月22日付けの事務連絡
で、国立大学の授業料標準額を値上げする旨の通知を行いました。

 この30年余の間に、私立大学との格差是正や受益者負担を口実として、国
立大学の初年度納付金が50倍近くにまで値上がりし、経済的な理由から大学
への進学に躊躇する学生が出てきている事態となっています。消費者物価や勤
労者賃金は数年来低下していることから、授業料を引き下げている私立大学も
あるような情勢において、簡単に授業料を値上げするようなことは、経済的に
恵まれた者だけを優遇することにつながり、憲法が保障する教育の機会均等の
原則にも反します。国立大学法人化法案成立の際の附帯決議第13項には、
「学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととなら
ないよう、将来にわたって適正な金額、水準を維持する」こととなっています
ことから、今回の授業料標準額の値上げの動きは法人化後わずか二年において
附帯決議にも反する極めて憂慮すべき動きといわざるを得ません。

 国立大学協会が昨年12月8日の臨時総会において授業料標準額を引き上げ
ることのないように文部科学省に要請しておりますが、金沢大学で学ぶことを
目標に勉学に励む受験生やその保護者のためにも、今回の授業料標準額の値上
げの動きには金沢大学として反対の意志をはっきりさせるべきと考えます。す
でに、各地の国立大学法人が学長名で文部科学省に再考を求める声明を発表し
ているとのことです。この不合理な「国立大学授業料標準額引き上げ要請」に
対して北陸地区の基幹大学として反対の声を公にして頂くようにお願い致しま
す。

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2005年1月21日

         国立大学授業料標準額の値上げに反対します

           金沢大学教職員組合執行委員長      田崎和江


 財務省が昨年12月20日に発表した来年度予算原案において、国立大学授業料
標準額を15,000円引き上げて、535,800円とすることが盛り込まれています。こ
れを受けて、文部科学省は、12月22日付けの事務連絡として、各国立大学法人
に対して、授業料標準額を値上げする旨の通知を出しています。

 昨年12月8日に国立大学協会が、授業料標準額を引き上げることのないように
文部科学省に要請しているにもかかわらず、このような動きには憂慮の念を禁
じ得ません。大学法人化法案成立時に異例ともいうべき多くの附帯決議が付け
られており、その附帯決議第13項には、「学生納付金については、経済状況に
よって学生の進学機会を奪うこととならないよう、将来にわたって適正な金額、
水準を維持する」と明記されています。今回の政府の授業料標準額の値上げは、
法人化後わずか一年しか経過していない段階で、国会での附帯決議に反するよ
うな動きと言わざるを得ず、極めて遺憾です。

 ご存じの通り、私立大学との格差是正や受益者負担といった口実によって、
国立大学の学生納付金は年々上昇を続けて、現在では30年前の約50倍の額にも
達しています。このまま負担増が続けば、有為な学生が経済的な理由で進学を
断念することにつながり、高等教育を受ける機会均等を損ないます。また、消
費者物価及び数年来の勤労者の労働賃金の低下などによって、学費の値下げに
踏み切る私立大学もある現状では、国立大学法人が簡単に学費の値上げを行う
ことには説明がつきません。私達は、政府の財政破綻のつけを学生やその保護
者への負担に転嫁するような「授業料標準額の値上げ」に対して、断固反対す
るとともに、運営費交付金については「従来以上に各国立大学における教育研
究が確実に実施できるに必要な額を確保する」(附帯決議第12項)ことを求め
ます。

 各国立大学法人は、授業料標準額の10%の範囲で、自主的に授業料を決めるこ
とができることから、金沢大学でも主体的な判断で据え置くことも選択肢とし
て可能なはずです。国立大学協会の要請に述べられています「経済状況に左右
されずに、能力・適性に応じて進学できる機会を確保するのが国立大学の役割」
であることを真に自覚するならば、金沢大学として安易な「授業料値上げ」と
いった措置をとることのないよう求めます。