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新首都圏ネットワーク


声明文「国立大学授業料値上げに反対します」

 財務省は、2004年12月20日に発表した来年度予算原案に、国立大学授業料標準額を15,000円引き上げ、535,800円とすることを盛り込
みました。文科省もこれも容認し、各大学に説明に回っています。
 国立大学法人化により、授業料は、政府が決めた標準額の10%を上限に各大学が決め、財政にかかわる裁量は各大学にまかせるという原則になりました。
しかし、政府は、標準額通りの授業料値上げを前提に、各大学への運営費交付金を減らす予算案を組みました。これは、事実上の学費値上げの強制です。
 国会において、国立大学法人法が可決された際には、以下の付帯決議が行われました。

十二、運営費交付金等の算定に当たっては、算定基準及び算定根拠を明確にした上で公表し、公正性・透明性を確保するとともに、各法人の規模等その特性を
考慮した適切な算定方法となるよう工夫すること。また、法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要
な所要額を確保するよう努めること。
十三、学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととならないよう、将来にわたって適正な金額、水準を維持するとともに、授業料等
減免制度の充実、独自の奨学金の創設等、法人による学生支援の取組についても積極的に推奨、支援すること

 このたびの授業料標準額の引き上げとそれを理由とする運営費交付金の削減は、この付帯決議に違反することは明らかです。このようなことが許されてよい
のでしょうか。
 この30年ほどの間に、国立大学の初年度納付金(授業料・入学金など)は、私学との格差是正、対等な競争条件等を口実として、50倍の約80万円に引
き上げられ、世界一の水準の学費となっています。すでに憲法が定める「国民の教育を受ける権利」「教育の機会均等」を奪うものとなっており、それに拍車
をかける暴挙を認めるわけにはいきません。政府・財務省・文科省は、巧妙にも値上げの最終責任を各大学に委ねることにより、自らの責任を隠蔽しようとし
ています。各大学では、授業料を値上げするのか、教育・研究予算の削減あるいは職員給与の削減等の支出削減で対応するのか、いずれにしても大学の存亡に
かかわる重大問題が生じています。
 こうした中で、12月8日に国立大学協会が授業料標準額を引き上げないよう政府に要望したのをはじめ、16日には中四国の10国立大学学長声明が、
18日には弘前・岩手・秋田の3国立大学学長声明が、21日には東京大学を含む都内11国立大学長連名による値上げ反対要請が出されました。京都大尾池
総長等の学長個人の反対表明も含めて、労働組合、学生自治会だけではなく、学長レベルでの値上げ反対の動きが相次いでいます。

 私たちは、政府・財務省・文科省に対して、国会決議を無視し、憲法・教育基本法に定める教育を受ける権利に反する授業料値上げを撤回し、運営費交付金
削減を行わないことを強く求めます。
 また、国大協および各大学学長には、授業料値上げ・運営費交付金削減を撤回させるまで、力をつくしてあらゆる努力を払うよう求めます。
 本学の経営責任を持つ学長・役員には、関係機関にむけて授業料値上げ-運営費交付金削減の撤回の働きかけを、他大学にも呼びかけて行うよう求めます。
さらに、最悪の事態を迎えた場合においても授業料値上げを可能な限り行わず低い水準に抑えることによって、より広く教育の機会を保障し、国民と地域社会
に責任を負う国立大学の使命に応え、国民に支持されるにたる存在価値を築くために、学内予算運営における最大限の努力を払うよう求めます。

 2005年1月21日

愛知教育大学職員組合執行委員会
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大 村 惠 OMURA Megumi
mohmura@auecc.aichi-edu.ac.jp
Fax  : 020-4665-2736
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