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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 234(2005.1.27 Thu) 目次と抜粋
http://letter.ac-net.org/number/234

━┫AcNet Letter 234目次┣━━━━━━━━━ 2005.1.27 ━━━━━━

【1】(35552) AcNet Letter より2005年01月26日取得
  「北海道大学学長選 藤田正一教授 所信表明」
  http://www2.gol.com/users/fut/shoshin.htm

【2】(35248) 国立大学法人法案に反対する意見広告の会 より2005年01月26日取得
  「「意見広告の会」ニュース244(2005.1.26)」
  http://ac-net.org/rss/item/35248

   ───国立大学法人学長「選挙」問題───

【1-1】(35249) 全国国公私立大学の事件情報 より2005年01月26日取得
  「北大職員組合、この度の総長選挙について(声明)」
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/01/post_454.html

【1-2】(35250) 全国国公私立大学の事件情報 より2005年01月26日取得
  「法人化後初の琉大学長選考 選挙廃し「意向調査」」
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/01/post_453.html

【1-3】(35251) 全国国公私立大学の事件情報 より2005年01月26日取得
  「新方式に意見対立、東北大学長選挙廃止 」
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/01/post_452.html

   ───高等教育費問題───

【2-1】(35252) 全国国公私立大学の事件情報 より2005年01月26日取得
  「北東北3大学長「標準額改定は望ましくない」」
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/01/post_451.html

【2-2】(35253) 全国国公私立大学の事件情報 より2005年01月26日取得
  「東大も授業料値上げ 標準額で、博士は据え置き」
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/01/post_450.html

【2-3】(35254) 全国国公私立大学の事件情報 より2005年01月26日取得
  「金沢大、授業料を標準額に値上げ」
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/01/post_455.html

   ───著作権保護期間延長問題───

【3-1】(35236) NO WONDER より2005年01月26日取得
  「著作権保護期間の見直しに関するパワーポイント」
  http://researcher.txt-nifty.com/kamahara/2005/01/post.html

   ───イラク問題───

【4-1】(35247) イラク戦争に関する世界情勢のニュース より2005年01月26日取得
  「イード祭と爆弾テロ、レジスタンスの姿勢」
  http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/2005Eid_al_Adha.html

【4-2】(34961) Yahoo! News > 自衛隊イラク派遣 より2005年01月25日取得
  「<イラク派遣訴訟>国側に目的など認否求める 札幌地裁(毎日新聞 1月
25日1時41分)」
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050125-00000007-mai-soci

   ───荒廃の遍在───

【5-1】(35259) 壊れる前に... より2005年01月26日取得
  「エリ・ヴィーゼルの国連スピーチ」
  http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2005/01/post_24.html

【5-2】(34958) 札幌から  ニュースの現場で考えること より2005年01月25日取得
  「愛媛県警の「現職・実名」告発者に異動の内示!」
  http://newsnews.exblog.jp/419977

【5-3】(35164) 平川研究室Blog より2005年01月25日取得
  「ベネマン前米国農務長官がユニセフ事務局長に!?」
  http://www.cs.kyoto-wu.ac.jp/~hirakawa/diary/archives/200501/251058.php

   ───「人権への無関心」問題───

【6-1】(34957) 札幌から  ニュースの現場で考えること より2005年01月25日取得
  「やっぱりヘンだ  クルド人強制送還問題」
  http://newsnews.exblog.jp/420112


━ AcNet Letter 234【1】━━━━━━━━━━ 2005.1.27━━━━━━━━

 北海道大学学長選 藤田正一教授 所信表明
  http://www2.gol.com/users/fut/shoshin.htm

  From:AcNet Letter ( http://ac-net.org/letter/ )
  取得時:2005年01月26日23時 URL: http://ac-net.org/rss/item/35552
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所    信

  獣医学研究科 藤田正一


はじめに

今回の総長選考は法人化後始めての総長選考で、この総長選考方法が妥当なも
のであるかどうかの試金石的な役割もあると考えられます。現職総長に対抗し
て意向聴取(選挙)の対象者となることは極めて勝算が薄いとの読みから、候
補者の名乗りが無いと聞いております。大学法人法の下で、可能な限り民主的
な大学運営の実績を前例として確立する必要のある時期、「対立候補がいない
ため意向聴取(信任投票も)無し」では、大学構成員に現状に対する不満があっ
ても、その意向は反映されず、学園民主主義を自ら崩壊させてしまいます。法
人化で薄くなりつつある参加意識はますます低下して学内の政治離れが進行し
てしまうでしょう。法人化後の北大の現制度では、トップダウンでボトムから
の意向を汲み上げることが出来にくくなってしまいました。その意味では、た
とえ選任されなくても、意向聴取における対立候補の批判・提案はボトムから
の意見として貴重であると思います。オールターナティブな意見として選挙後
の本学の運営に有効に活かしていただけるものと思います。私を「是非に」と
押して下さる方々が居られることもあり、本学の健全な行政システムの確立の
ためにも蛮勇を振るい、あえて推薦をお受けすることとしました。


「大学の使命」

私は大学の社会的使命を以下のようにとらえています。

第一の使命は教育による人材育成

第二は研究による学問の深化

第三が研究成果の社会への還元

第四、高度の知識を有する専門家集団として、社会の政治、経済、文化、教育
等の動向のクリティカルな分析に基づく提言や警告の発信

第五、文化の創造と発信、地域の文化の拠点を担う。


この社会的使命を全うするために、現在の北大の問題点とその改善を考えてみ
ました。


I.なお残る法人化の問題点

2004年4月、北大を含め、日本の国立大学は法人化へと軟着陸しました。
大学にとって必ずしも歓迎されるわけでは無い制度の準備を、多くのエネルギー
を割いて遂行し、法人化への移行を間に合わせて下さった方々、現総長を始め
関係者に敬意を表します。

さて、法人化が施行されても、行政による大学支配の強化の可能性等、指摘さ
れていた問題点は消えたわけではありません。今回の法人化では、評価が予算
に反映されることになっていますから、政権がその気になれば、評価によって
大学の管理を強化できますし、「学問の自由」や「思想の自由」の侵害の可能
性もあります。国家権力が教育の自由を掌握すると、どのような結果になるか
は、戦後の東大総長矢内原忠雄の次の言に端的に表現されています。

「明治の初年において日本の大学教育に二つの大きな中心があって、一つは東
京大学で、一つは札幌農学校でありました。この二つの学校が、日本の教育に
おける国家主義と民主主義という二大思想の源流を作ったものである。 ...
札幌から発した所の、人間を造るというリベラルな教育が主流となることが出
来ず、東京大学に発したところの国家主義、国体論、皇室中心主義、そう言う
ものが、日本の教育の支配的な指導理念を形成した。その極、ついに太平洋戦
争をひき起こし、敗戦後、日本の教育を作りなおすという段階に、今なってお
るのであります。」 

この戦後の教育改革の中核を担ったのが、教育基本法原案を作った教育刷新委
員会の人々で、その多くが、札幌農学校の精神を継承する新渡戸稲造―内村鑑
三人脈の人々でした。

世界の歴史の教訓から、政権による「学問の自由」の侵害が特に危惧されるた
め、1950年ユネスコにより召集され、ニースで行われた世界の大学の国際会議
では、大学と不可分の理念のひとつとして、「多様な意見に対する寛容と、政
治的干渉からの自由」(The tolerance of divergent opinion and freedom
from political interference)をあげています。

これらの背景に鑑み、北大のあるべき姿を宣言するものとして、また、予測さ
れる法人化の弊害に対抗するものとして、法人化論議の激しい頃、私は我々が
よって立つ根拠となる大学憲章の必要性を提案しました。憲章はその後いくつ
かの大学で既に制定されています。法人化後の現在でも、その必要性は薄れて
はいません。添付の案のような「北大憲章」の制定を提案します。さらに、上
記のような危惧を認識した上で、現行法人法の枠内で最大限民主的な施策を実
行し、法律運用面での前例を確立して行かなければなりません。現在の北大の
施策がそのようになされているでしょうか。


II.法人化後の北大の問題点と将来展望

1.行き過ぎたトップダウン意志決定システムの改善を

法人化後の北大の重要事項等に関する意志決定システムは、典型的なトップダ
ウン方式ですが、一般構成員にはきわめて不透明な意思決定プロセスに思えま
す。トップダウンは効率的ですが、一歩間違えば、おろかな施策を効率的に実
行し、組織を崩壊に導く可能性があります。

北大2000 人の教員の英知をくみ上げるシステムがなくなってしまったことは憂
慮に耐えません。自分の意見が反映される仕組みがなければ、構成員の組織運
営に参画する意識も組織に対する帰属意識も薄らいでゆくのは当然でしょう。
私はここに危機感を覚えます。今、全く見えて来ない中枢の論議が一般教員に
伝わり、意見を言えるシステムを是非構築しなければなりません。


2.経営と教学の不一致の改善を

法人化により、評議会は教育研究評議会となり、大学経営に関する審議が外さ
れました。大学経営に関する現場の声は大学中枢に届きにくいシステムに変わっ
てしまいました。現場を知らない経営者が会社を潰すことはよくあることです。
民間の手法の導入には、民間の失敗による反省から来た教訓をも導入すべきで
す。学外委員の意見も生かしたシステムの再構築が必要でしょう。

少なくとも部局長連絡会議は報告会に留まらず、大学経営における部局(現場)
の事情を主張できる場とすべきです。教学(教育研究)は経営と密接にからみ
合い、不可分です。教育研究評議会(と言う名称ですが)においても、経営に
関する論議も当然なされるべきです。


3.基礎研究の強化の必要性

大学の社会貢献として産学官の連携による大学の研究成果の社会への還元が期
待されています。社会に貢献できる研究の永続的な振興を望むのであれば、連
携で得られた果実を基礎研究に環流し、基礎研究を育てるもので無ければ、将
来の果実を生む研究の根が断たれてしまいます。本学における産学官連携の拠
点は創成科学研究機構を中心とする北キャンパスですが、初代創成科学研究機
構長として私が心を砕いたことは、「創成」がその名のとおり、新しい科学を
生む場であることに存在意義があり、若手による萌芽期の基礎研究を支援する
ことでした(リテラポプリvol.18参照)。

米国オレゴン大学(University of Oregon)はApplied Science部門(医学部ま
でも)を大学から切り離し、Basic Science部門のみで構成する大学となりまし
たが、教員一人当りの外部資金(主にNIHからの)導入額や特許収入額は非常に
高く、基礎研究のみで高い外部資金導入と社会貢献を果たしている例として参
考に値します。


3.経済貢献以外の社会貢献の必要性

人間を物質面では無く、より高いレベルで豊かにする社会貢献も大学には求め
られています。むしろこれが大学の大学らしいところですが、それは「大学が
文化の創造と発信の中心である」ということに関わります。哲学や文学や芸術
や、すぐには経済貢献しそうも無い基礎科学の知識も、人間の心と発想を豊か
にする役割を持っています。効率化と経済性重視の視点しか無いと、これらが
忘れ去られてしまいます。社会はぎすぎすし、競争的になり、犯罪も増えます。
精神面の豊かさに貢献する大学の役割はもっと強調されるべきです。社会的風
潮に流され、経済的に貢献しない学問を切り捨てよう等と言う考えはとんでも
ありません。


4.健全な競争と無益な競争

教育には100年の計が必要です。市場原理は「現在と近未来」の価値観で取
捨選択をしてしまいます。100年の遠望は市場原理に望めません。メンデル
のエンドウ豆の研究が、最新の遺伝子治療や医薬開発に結びつこうなどと当時
の誰が想像したでしょうか。大学が文化創造の場であるとするなら、市場原理
の導入は慎重に行わなければ逆効果を招き、大学を大学ではなくしてしまうで
しょう。損得勘定でものを考え、儲かることが良いことである、物質的豊かさ
の追求が善である。と言う価値観が大学の教育研究にまで及んでしまうことを
恐れます。人類の福祉の為に、新しい発見に情熱を燃やし、競争をするのは健
全ですが、大学の使命を認識した上での競争であるべきです。


5.他大学との連携 

法人化の問題点は大学を問わず共通なものが多々あります。これに対処するた
めには他大学との連携が不可欠です。国大協等で他大学に呼び掛けて法人化問
題と、大学人が考える新たな大学の設置形態の検討をもスタートさせたいと思
います。社会全般に言えることですが、教官も学生も思考パターンが利益誘導
型になってしまっている。損得勘定から言うべきことを言わないということで
は将来に憂いを残します。大学の設置形態にしても北大にとって有利かと言う
発想よりも、日本の高等教育の未来にとって有益であるかどうかと言う判断が
優先すべきです。総長は単なる北大の利益代表ではありません。日本と世界、
人と自然とのかかわり合いにおいて21世紀の日本の教育をどうするかを他大
学の総長とともに考えて行く立場にあります。自分の大学・学部への利益誘導
のみを考え、権力あるものや文科省を刺激しないよう、発言を調節し、おどお
どしながら御機嫌を伺う。こんな情けない大学の姿は見たくない。


6.その他

北大の教育研究の個性・特色を更に伸ばす施策、国際教育研究交流の格段の伸
展、北大に文化の香りと品性を運び、北大を真の総合大学とするため芸術学部
創設の検討など、私案もありますが、文字数の制約上、省略します。北大の英
知を結集して取り組んで行きたいと思います。


━ AcNet Letter 234【2】━━━━━━━━━━ 2005.1.27━━━━━━━━

 「意見広告の会」ニュース244(2005.1.26)
  http://ac-net.org/rss/item/35248

  From:国立大学法人法案に反対する意見広告の会 (
http://www.geocities.jp/houjinka/ )
  取得時:2005年01月26日01時 URL: http://ac-net.org/rss/item/35248
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抜書『Date: Wed, 26 Jan 2005 00:56:53 +0900

*ニュースの配布申し込み、投稿は、qahoujin at
magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
1 国立大学授業料値上げ 1−1 東京大学職員組合声明 国立大学授業料
標準額引き上げに反対する 1−2 【京都大学】値上げ問題に関する議論と
決定は2月上旬以降に 首都圏ネット
2 NHK番組への政治介入についての声明       東京大学教員有志
3 3−1 「首都大学東京」が比較的高い評価という噂        
やさしいFAQより 3−2 都立大学人文学部文学5専攻の崩壊      
 http: //www.kubidai.com/modules/xfsection/article.php?articleid=22 』

━ AcNet Letter 234【5-1】━━━━━━━━━━ 2005.1.27━━━━━━━━

 エリ・ヴィーゼルの国連スピーチ
  http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2005/01/post_24.html

  From:壊れる前に... ( http://eunheui.cocolog-nifty.com )
  取得時:2005年01月26日06時 URL: http://ac-net.org/rss/item/35259
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抜書『ナチスの絶滅収容所解放60周年を記念する国連総会(2005年1月24 日)。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID= 13102&Cr=semit&Cr1= ページ
一番下のリンクから各国首脳等のスピーチのビデオを見ることができる。Elie
Wiesel さんによる講演は午前の部、32分から48分まで。 大意を要約する。強制
収容所に送られたユダヤ人たちは、ナチスの暴力だけでなく、世界の無関心によっ
て苦しめられた。ユダヤ人殺戮を行なったのは、ごく普通の、教養をもった市民
であり、なぜアウシュビッツのようなことが起こりえたのかは、いまだに言語で
は表現できない。自分と違う者たちへの憎悪や、復讐は病気である。』

cf:エリ・ヴィーゼル「ふたつの世界大戦を超えて」
http://ac-net.org/dgh/00101-mukanshin.html

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編集発行人連絡先: admin@letter.ac-net.org
趣旨:http://ac-net.org/letter/
ログ:http://ac-net.org/letter/log.php
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