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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』宮城版 2005年1月25日付

新方式に意見対立/東北大学長選挙廃止


 東北大が24日、1922年の第4代学長の選出以来、83年間続けてきた
学内投票による学長選挙を廃止することを発表した。大学側は「候補者を広く
社会に求め、法人化された大学にふさわしい人を選考会議で選ぶ」としている
が、学内には「密室での決定になる」として反対意見も根強い。医師派遣先か
らの金銭受領など医学部問題で大学トップの責任が問われた東北大が、どのよ
うに次のトップを選ぶのか。意見対立のまま導入された新方式に学内が揺れて
いる。

 大学側はこの日、記者会見を開き、「総長(学長)選考会議」議長の小田滋
氏(元国際司法裁判所裁判官)が新しい選考方式について説明した。

 新方式の特徴は、これまで投票方式で学内だけで行っていた選考から、学外
の有識者を半数入れた選考会議での選考に切り替えることだ。候補者の資格も
「人格が高潔で、学識が優れ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に
運営することができる能力を有する者」とし、学内の教授や教授経験者に限っ
ていた資格制限を取り除いた。

 こうした新方式の背景には、独立法人化によって大学間競争が増す中、より
強力な学長の指導力が求められるようになったことや、従来の学内選挙が学部
対抗の様相を帯び、教員数が少ない文系学部出身の教授が不利になりがちだっ
たとの反省があるとされる。

 小田氏は「今日のマンモス化した大学では、投票は民意を反映せず、無駄だ
と思う」と指摘。大西仁副学長は「大学人だけが自分の都合のいい代表を選ぶ
のではなく、公共の利益を反映させないといけない」と話した。