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新首都圏ネットワーク


『中日新聞』滋賀版 2005年1月25日付

学生サービスで“還元”します
滋賀大・滋賀医大、授業料値上げ


 国が国立大の年間授業料の目安となる標準額を一万五千円増額したことを受
け、二〇〇五年度の授業料値上げを決めた滋賀大と滋賀医大。各大学は国のや
り方に憤りをみせながらも「値上げ分は学生サービスで還元したい」としてい
る。

 国立大は、法人化により国から“独立”し、授業料は自ら設定できるはずだっ
た。財政面での独り立ちは難しく、国の各大学への運営交付金削減の方針から、
各大学は収入を確保するためには値上げせざるを得ない仕組みとなっている。

 滋賀大の財政状況をみると、〇四年度の収入五十八億八百万円のうち、運営
交付金は三十四億九千七百万円で約六割を占める。〇五年度からは交付金が約
三千万円カットされる。そのうえ標準額の値上げ相当分は運営交付金から一律
に減額されるため、授業料を改定しなければさらに約五千万円の減収になるこ
とから値上げを決定した。

 滋賀医大では、〇四年度の収入は約百八十億円(付属病院の収入含む)。う
ち運営交付金は約五十四億円で、〇五年からは約四千万円削減され、授業料を
値上げしなければさらに千五百万円減収となる見通しだった。

 値上げについて、滋賀大の成瀬龍夫学長は「遺憾」と述べ「法人というなら
ば財政的に自立できるよう国に求めたい」と語気を強めた。

 滋賀大では授業料値上げで約五百万円の自己収入が確保できる予定で、学生
用の図書購入や授業料免除となる対象の学生数を増やすことを検討している。
(岡本 恵里子)