『予算・授業料情報』No.19
私立大学の学費について 文系大学院では国立よりも安い大学も
2005年1月24日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局
文科省は今回の授業料値上げの理由を私立大学との格差是正としています.実際に私立大学の学費はどれくらいなのか,調べてみました.
1.文系大学院では、主要私立大学との間に、格差は存在しない
文系の私立大学の大学院は多くの場合学部に比して安く納付金が設定されています.代表的な私立大学として,慶應義塾大学,早稲田大学,同志社大学の例を下記に示します.慶應義塾大学では,施設設備費を含めても国立大学よりも安く設定されています.文系の大学院については,主要私立大学との間に、事実上格差は存在していないといえます.
主要私立大学の文系大学院の学費(修士・博士)
*慶応義塾大学 大学院文系 (文学,経済学,法学,商学)
修士 博士
入学金 310,000 310,000
在学料 450,000 450,000
施設設備費 30,000 30,000
*早稲田大学 人文・社会系大学院 (政治学,経済学,法学,文学,商学,教育学,社会学)
修士1年 修士2年 博士1年 博士2年 博士3年
入学金 290,000 260,000
授業料 450,400 459,000 379,100 383,300 387,500
施設費 90,000 90,000 80,000 80,000 0
*同志社大学 大学院文系 (神学,文学,社会学,法学,経済学,商学,アメリカ,総合政策)
修士 博士
入学金 250,000 250,000
授業料 462,000 462,000
教育充実費 109,000 109,000
上記の大学はいずれも,修士への学内進学者は,入学金半額,博士への学内進学者は,入学金不要.
ちなみに,国立大学の大学院は文系理系,修士博士共通で,入学金 282000円,授業料520800円(今回の値上げ案では535800円)になっています.
2.私立大学の学部別の学費
私立大学の学部別のデータは,文科省が調査した「私立大学等の平成16年度入学者に係る学生納付金等調査結果」に出ています.http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/daigaku/03120401.htm で見ることができます.
結論だけ述べると,下記の表のように,文系の授業料の平均はおよそ70万円,理系(医歯薬を除く)がおよそ100万円弱となっており,すべて平均すると,およそ80万円強になります.
学部系統別授業料,入学料及び施設設備費の状況
区分 授業料 入学料 施設設備費 合計 上昇率
円 円 円 円 %
文科系学部 707,740 263,089 173,487 1,144,316 0.6
理科系学部 981,571 282,278 216,601 1,480,450 1.5
医歯系学部 2,998,250 891,249 1,168,751 5,058,250 3.7
その他学部 891,595 302,581 251,069 1,445,245 1.5
全平均 817,952 279,794 204,448 1,302,194 0.7
※調査回収率95.0%(545校中518校から回答)
また,全国の大学の学費一覧は,以下の旺文社のサイト(http://passnavi.evidus.com/dai/
)で見ることができます.
以上