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新首都圏ネットワーク


『東京新聞』2005年1月23日付

国立大授業料、初の格差


 国立大の年間授業料の目安となる「標準額」が今春、現行の五十二万八百円
から一万五千円引き上げられるのに伴い、全国八十三の四年制国立大のうち、
少なくとも五十三校が標準額にそろえて値上げすることを決めたか、値上げの
方向であることが二十二日、共同通信社の調査で分かった。

 未定が二十七校あるが、財源確保のため値上げに踏み切るところが少なくな
いとみられる。

 一方で、佐賀大は据え置きの方向で検討し、愛媛大は二年かけて二段階で標
準額まで値上げすることも検討。これまで、全国一律だった国立大授業料に初
めて格差が生じる見通しになった。

 国立大は昨年四月の法人化に伴い、授業料は各校の判断で決めることになっ
た。標準額が引き上げられても現行のまま据え置くことや引き下げも可能。標
準額の10%増まで値上げもできる。

 昨年末の政府予算編成で標準額が一万五千円増の五十三万五千八百円と決ま
り、各校の対応が注目されていた。

 調査は国公立大二次試験の出願が二十四日に始まるのを前に実施した。

 佐賀大と愛媛大以外の対応は「標準額通り値上げする」と決めたのが二十四
校、「標準額通り値上げする方向で検討中」と回答したのが二十九校に上った。
群馬大は「現状維持か値上げのどちらかで検討中」とし、「方向性も含め未定」
は二十七校だった。値下げは現時点ではない。

 各校でつくる国立大学協会は昨年末「物価が下がる中、上げる必然性はない」
などと標準額値上げ反対の姿勢を示した。

 結果的に多くの大学が値上げするのは、国から各校への運営費交付金が削減
傾向の中で財源確保を迫られたことなどが背景にあるとみられる。

 対応が割れたことに文部科学省は「各校判断で対応する法人化の趣旨に沿う」
と理解を示した上で、未定校については「受験生への周知のためにも早めに決
めてほしい」としている。

■4年制国立83大学調査の結果

 【標準額で決定済み】室蘭工業大、岩手大、山形大、東京学芸大、上越教育
大、金沢大、山梨大、静岡大、滋賀大、滋賀医科大、大阪大、兵庫教育大、神
戸大、和歌山大、島根大、山口大、鳴門教育大、香川大、高知大、福岡教育大、
長崎大、宮崎大、鹿児島大、鹿屋体育大

 【標準額の方向で検討中】北海道大、旭川医科大、北見工業大、宮城教育大、
福島大、茨城大、宇都宮大、埼玉大、東京外国語大、東京農工大、東京芸術大、
東京海洋大、お茶の水女子大、電気通信大、一橋大、新潟大、富山大、福井大、
浜松医科大、愛知教育大、名古屋工業大、豊橋技術科学大、大阪教育大、奈良
教育大、奈良女子大、鳥取大、広島大、大分大、琉球大

 【据え置きの方向で検討中】佐賀大

 【その他】群馬大、愛媛大

 【未定】ほか27大学