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『2005年度大学関係政府予算案・授業料問題情報』(略称『予算・授業料情報』) No.14=2005年1月20日発行 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局 全大教文科省会見報告に見る文科省の欺瞞 全大教は森田書記長名による19日付の各単組委員長あての「国立大学の学 生納付金改定に関わる文科省会見」の中で18日の会見内容を伝えている。そ れによると、 【文科省】 授業料の引き上げを行わない大学は自己収入の増加分がないだけ で、運営費交付金は変わらない。運営費交付金の全体を見れば、学生納付金の 標準額改訂による増額分81億円は、本来は運営費交付金から減額される分だが、 上述したように今回は減額しないことで財務省との間で決着した。この81億円 の10%については全大学に配布する。90%分は移転経費などの「特殊要因経費」 として配布する。学生納付金標準額の改定分について運営費交付金の減額に連 動させない今回の措置が今後どうなるかはこれからの検討交渉課題となろう。 とある。ここに示された文科省の回答は欺瞞に満ちている。重要なセンテンス について緊急に検討しておく。「 」が文科省回答、◎が本事務局コメント。 「授業料の引き上げを行わない大学は自己収入の増加分がないだけで、運営費 交付金は変わらない。」 ◎これは当然であり、文科省の「功績」での何でもない。なぜなら、運営費交 付金は既に値上げを前提にその分縮減されているからである。国立大学法人全 体については、本事務局配信の「文科省資料A」 (http://www.shutoken-net.jp/041229_5b_jimukyoku.pdf)の「収入欄」(左 のコラム)を参照して頂きたい。個別大学法人については、各大学宛の内示額 (書式はhttp://www.shutoken-net.jp/050106_2naiji.pdf)のg項に「授業料 標準額改定増収額」が減額要因として記入されている。例えば東京大学の場合、 運営費交付金の算出式のg項には351,990千円が△減印付で計上されている。 要するに、「値上げを見込んで運営費交付金を減らしているのに、値上げしな いなら大学の収入は減りますよ」ということなのである。 「運営費交付金の全体を見れば、学生納付金の標準額改訂による増額分81億円 は、本来は運営費交付金から減額される分だが、上述したように今回は減額し ないことで財務省との間で決着した。」 ◎これは奇怪な回答である。上記のように、そしてまた本事務局が『予算・授 業料情報』No12の末尾で強調したように運営費交付金は授業料値上げ増額分を 見込んで、既に減額されているのである。この上、さらに同額分を個別大学の 運営費交付金から減額することなど、公表されている運営費交付金算出の仕組 みからしてあり得ない。そのような主張を財務省が行っているのであれば、そ れは大問題であり、文科省はその詳細な事実を直ちに公表しなければならない。 もし、財務省がそのような主張をしていないのであれば、文科省が大学に対し て嘘をついているのである。 「この81億円の10%については全大学に配布する。90%分は移転経費などの 「特殊要因経費」として配布する。」 ◎こんなことは「文科省の手柄」でも何でもない。むしろ、授業料値上げは、 概算要求で提出した特殊要因経費が大幅に削減された分を補填するためではな いかという本事務局の分析(『予算・授業料情報』No12)の正しさを問わず語 りに示しているのである。 「学生納付金標準額の改定分について運営費交付金の減額に連動させない今回 の措置が今後どうなるかはこれからの検討交渉課題となろう。」 ◎これは文科省の全くの嘘である。上記のように両者は完全に連動している。 「これからの検討交渉課題となろう」と“脅迫”することによって、「今回、 文科省も頑張ったのだ」と思わせようとする文科省の許し難い欺瞞的態度が現 れている。 |