トップへ戻る   以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Academia e-Network Letter No 229(2005.1.19 Wed)
http://letter.ac-net.org/number/229

━ AcNet Letter 229【1】━━━━━━━━━━ 2005.1.19━━━━━━━━

投稿

  著作権延長反対運動展開に向けて
  http://ac-net.org/item/72

────────────────────────────────────
Subject: 著作権延長反対運動展開に向けて
Date: Mon, 17 Jan 2005 21:14:47 +0900
From:「著作権法改正要望のパブリックコメントを追跡する」サイト
http://publiccomment.seesaa.net/作成者より

本日(17日)、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会は「著作権法に係
る今後の検討課題」16項目を決定しました。共同通信社の報道では「私的録
音補償金制度の見直し」が中心であるかのように伝えられていますが、これ
は「おとり」であって文化庁が「本命」と位置付けているのは10月に行った
一般からの意見募集では賛成意見がほぼ皆無であったにも関わらず検討課題
素案に残された「著作権保護期間の延長」であることは確実です。一応、本
日決定された検討課題では「必ずしも法改正を行うことが必要であるとの判
断にまで及んでいるものではない」との但し書きが冒頭に在るものの、昨今
の吉川晃・著作権課課長による講演での発言や2003年1月の「ミッキーマウ
ス延命法」合憲判決を受けて強まる一方のアメリカ政府による外圧、そして
文化庁から大量の天下りを受け入れている日本音楽著作権協会(JASRAC)を
中心とする音楽業界の強い要望の存在と言った周辺事情を考える限り、文化
庁が今後ますます「強行突破」の姿勢を強めることは疑うべくもありません。

もし、現実に著作権延長が強行された場合、青空文庫や国立国会図書館近代
アーカイブ・プロジェクトと言った保護期間を満了し、公有に帰した著作物
の新たな利用形態はその芽を積まれ、それは著作権法第1条に謳われる「文
化の発展に寄与」する目的に反することにもなりかねません。著作権法第1
条に謳われる「文化の発展」が特定産業の既得権益を「延命」させ続けるこ
とに矮小化されて良いはずは無いのです。2003年1月に米国でE.Eldredが
「ミッキーマウス延命法」訴訟において敗れ去った後、アメリカ政府はます
ます各国への外圧を強めています。2004年初頭にはオーストラリアがこのこ
れに屈して著作権保護期間を延長、Project Gutenberg of Australia
<http://gutenberg.net.au/>は文字通り「ハリウッドに蹴散らされる」形で
最低でも今後20年間の大幅な活動規模縮小を強いられることとなりました。
Libraries caught in copyright changes(The Age・2004.2.11)
<http://www.theage.com.au/articles/2004/02/10/1076388365432.html?oneclick=true>


2002年7月14日放送のNHKスペシャル「変革の世紀・第3集“知”は誰のもの
か」に出演してから日本でも知名度が上昇しているL.Lessigスタンフォード
大学教授は近著である『FREE CULTURE』(山形浩生/守岡桜・訳、翔泳社)
を始め、特定産業界が「文化の発展」を大義名分に掲げてゴリ押しする著作
権延長が如何に有害無益であるかを力説し、支持者も世界的に増加している
もののその主張が一国の著作権政策に積極的に採り入れられるまでには至っ
ておりません(むしろ、ますます全世界規模で「逆行」の傾向を強める一方
です)。 『FREE CULTURE』(翔泳社)
<http://www.seshop.com/detail.asp?pid=5214> Lessig「2002年オライ
リー・オープンソースコンベンション基調講演」(FLASHムービー・日本語
字幕付き
<http://ittousai.org/lessig/lessig_free_culture_japanese_1.1.swf>)

この他『NBL』(商事法務)2003年1月1月号掲載「創造を育むコモンズ」
(白石忠志・訳)など参照。

そして、日本では最近になって[AcNet Letter 227]【17】でも紹介された横
山久芳・学習院大学助教授による「著作権の保護期間延長立法と表現の自由
に関する一考察――アメリカのCTEA 憲法訴訟を素材として」(学習院大学法
学会雑誌 39(2) p.19-97 20040300)が発表されるなど、2003年に映画著作
物に関してのみ法人著作権を「公表後50年」から「70年」に延長した際には
大した議論が巻き起こらなかった状況とは異なり、Lessigが訴える著作権延
長の有害無益性を多角的に検証する試みが始められようとしています。それ
故、文化庁は本格的な議論が進み著作権延長に(とりわけ、学術・教育分野
に関しては全くと言っていいほど)メリットが無いことが証明されるよりも
前に「強行突破」する姿勢を強めているのであり、文化審議会著作権分科会
が最終答申を出すまでの今後1年間、様々な立場の者が手を携えて大々的か
つ積極的な反対運動を展開して行く覚悟が必要であると考えます。

とりわけ、緊急に求められるのは以下の3点です。

*A4判3枚・11ポイント前後の大活字による著作権延長の有害無益性を説明す
る資料の作成
【参考】小倉秀夫弁護士「パワーポイント部隊の創設」
<http://d.hatena.ne.jp/OguraHideo/20050106>

*国会への延長反対請願署名提出
【参考】昨年、いわゆる「レコード輸入権」反対署名は2ヶ月弱で59050名分
が集まり、衆議院に提出された(紹介議員17名/受理件数33057名。審査未
了) http://www.shugiin.go.jp/itdb_seigan.nsf/html/seigan/1592940.htm

*学識経験者の連名による延長反対声明の公表
【参考】独禁法改正案に学者ら賛同声明(朝日新聞・2004.9.20)
<http://www.asahi.com/money/topics/TKY200409200093.html>

いずれも、現時点での拙案でありこれ以外にも案が有れば以下の掲示板や
メールなどで提案していただければ幸いです。

「著作権法改正要望のパブリックコメントを追跡する」掲示板
<http://jbbs.livedoor.jp/study/5142/>

※メールアドレスはサイト(http://publiccomment.seesaa.net/)に掲載し
ています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集発行人連絡先: admin@letter.ac-net.org
趣旨:http://ac-net.org/letter/
ログ:http://ac-net.org/letter/log.php
配信停止:teishi@letter.ac-net.org へ空メール送信
登録・アドレス変更法:http://letter.ac-net.org/s.php
転送歓迎(転送時に:http://ac-net.org/letter 併記希望)