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新首都圏ネットワーク


高校生の希望を摘み、日本の将来を危うくする大学の学費値上げに反対する(談話)

                            2004年12月24日

       日本高等学校教職員組合 副委員長・教財部長  林 萬太郎

 政府は24日午前の閣議で、一般会計82兆1829億円、財源不足を補う赤字国債
28兆2100億円となる来年度予算政府案を決定した。政府案は「改革断行予算」
と銘打って、平和を脅かし国民のくらしに大打撃を与える財政「三位一体」と
小泉「構造改革」路線を押しすすめるものとなっており、断じて認められない。
とりわけ、日高教は高校教育に携わる立場から、国立大学授業料標準額を
15,000円値上げし535,800円としたことに厳しく反対するものである。

 そもそも、国立大学学費は1979年からの25年で4倍近くに値上げされ、2004年
度でも授業料と入学金をあわせた初年度納付金は817,800円に達している。今で
も日本の教育費父母負担の高さは異常であり、この「世界一高い」学費をさら
に値上げすることは大学生や高校生の「教育を受ける権利」を奪うことになる。
すでに大学学費の国民負担は限界を超えており、「子どもの学費のために母親
がパートに出る」「学生が学費を稼ぐためのアルバイトで疲れてしまい、授業
中に居眠りしている」「(高校生が)進学したいが学費がないので、学費を貯
めるまでバイトする」「子どもはたくさん欲しいが、教育費のことを考えると
1人しか生めない」という事態が日本中に広がっている。政府案が通れば、これ
らの高校生・大学生や保護者にさらなる負担を強いることになる。

 今日、高校卒業生の就職がたいへん厳しいために、資格や専門性を求めて大
学・専門学校進学を希望する高校生が増えているが、今でも高い学費がさらに
上がれば、家庭の経済力がない生徒は進学もできなくなる。既に、文部科学省
調査でも「就職も進学もしない」卒業生が急速に増加し全卒業生の1割を占めて
いるが、求人減で就職できず経済的理由で進学もできなかった卒業生の多くは
フリーターやニート(NEET)となっていく。フリーターの厳しい生活と日本の将
来への悪影響については、「平成15年版国民生活白書」でも指摘されている。
このように、国立大学学費値上げは高校生の進路希望を直撃するだけでなく、
日本の将来をも危うくすることにもつながる。

 厳しい時代であればこそ、日本の未来を担う若者を励まし育てることが重要
であり、国は憲法26条で保障している「教育を受ける権利」に対する責任を果
たすことが求められている。日高教は、国立大学授業料標準額の値上げに断固
反対することを表明する。日高教は、引き続き「教育の機会均等」を求める圧
倒的多数の国民と共同して、高すぎる学費の引き下げと奨学金制度の抜本的拡
充を求めて、保護者・PTA・関係団体と共同してたたかうものである。