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新首都圏ネットワーク


『2005年度大学関係政府予算案・授業料問題情報』(略称『予算・授業料情報』)

No.8=2005年1月13日発行

京都大学尾池和夫総長、個人ホームページで授業料値上げを「今年最悪の知ら
せ」と発言

国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

http://homepage2.nifty.com/cat-fish/200503hm.html

京都の地球科学(131号、2005年3月号)

   震度とマグニチュード
                         尾池和夫

 二〇〇四年の年末、翌年三月号の原稿を書いている。土曜日でも日曜日でも、
何かの行事に出席したり、移動していたり、ほとんど休む日のない一年だった。
政府予算原案が示された中に、大学の授業料標準額の改訂が含まれていること
が、一年を通して今年最悪の知らせであった。改訂ということばが、当然のご
とく値上げを意味すると思っている人が多いことも最悪である。飛び抜けて世
界一高い授業料を取っているのだから、文部科学省は下げようという努力をす
る必要があると訴えてきたが、その考えに世論の支持はほとんど得られていな
い。

 その年末の一二月二六日、日曜日の午後、行事の合間にエッセイの原稿を書
いていた。その途中、ニュースが入り、スマトラ島の西、インド洋でマグニ
チュード八・五(後で九・〇に改訂された)の地震があり、津波が発生してい
るという。そのニュースの中で、この地震は、インド洋で起こったので、日本
では津波の心配はないという表現があった。NHKのニュースだったが、普段
から地震が起こるたびにいつも「この地震による津波の心配はありません」と
いうニュースの表現が、中途半端でよくないと思っているので、今回の、きち
んと理由が付いた「津波の心配はありません」という表現に注目したのである。

 夕方のニュースが続き、インド洋に面したスリランカ、モルディブ、インド、
スマトラ、タイなどで津波の被害が出ている。夕方のニュースでは、マレーシ
アでも被害があった。マグニチュードの値は八・九になった。地震発生から九
時間たっても、インドネシアのニュースがほとんど入らないのが気になる。きっ
と大津波におそわれているにちがいない。それにインド洋には背の低い、つま
り津波から逃げる場所のない島がたくさんあるのも、たいへん気になることで
ある。もうすぐ新年を迎えるのは西洋歴の国では同じだが、年の瀬に家を失う
のは、たいへんな不幸だと思う。