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新首都圏ネットワーク


『2005年度大学関係政府予算案・授業料問題情報』(略称『予算・授業料情報』)

No.7=2005年1月13日発行

国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 本事務局は、このほど東京都内の11国立大学長連名による文科相宛要請書
(12月21日付)を入手しましたので、お知らせいたします。

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文部科学大臣

中山 成彬 殿

       国立大学授業料の値上げについて是非再考を

 私たち国立大学を預かる大学長は、去る12月8日に開催された国立大学協会臨時
総会において、文部科学省が平成17年4月から実施を予定していると言われる授業
料値上げについて真剣に議論し、要請文「国立大学関連の予算の充実について」を全
員一致で決議いたしました。そこでは、「運営費交付金の確保・充実」、「学生納付
金標準額の据え置き」、「施設整備費の大幅増」を主たる要請内容とし、これを中山
成彬文部科学大臣に提出したところです。

 なかでも私たちは、平成17年度から予定されている授業料の値上げについて、次
の点を考慮すべきであると考えています。

1. 国立大学法人法の国会審議においては、衆議院文部科学委員会および参議院文
教科学委員会がそれぞれ附帯決議を上げ、「学生納付金については、経済状況によっ
て学生の進学機会を奪うこととならないよう、適性な金額とするよう努めること」、
あるいは「学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととな
らないよう、将来にわたって適正な金額、水準を維持する」ことに「特段の配慮」を
するよう求めていました。

 日本経済に曙光が見え始めてきたとはいえ、景気の回復はまだまだ不十分であり、
現在の物価状況を考えるならば、学費の値上げは受験生、在学生、保護者にとっては
到底理解できないものです。この措置は受験生の勉学意欲をそぐものであり、教育の
機会均等をもおびやかしかねないものです。また、在学生においては学費を工面する
ための新たな負担が生まれる事になり、勉学への集中がとぎれる心配をぬぐえません。

2. 国立大学法人への移行に伴って各大学が教育研究の一層の発展のため懸命な努
力を行っている正にその時に、授業料値上げが、唐突かつ誠に急を要するかたちで強
行されることは、今後の国立大学の運営に多大な混乱を招来します。各大学の努力が
報われないとすれば学内に無力感を醸成し、法人としての主体性に対してさらなる困
難をもたらし、高等教育の将来に対して大きな禍根を残す事になります。


 以上の点から私たちは、今回の授業料の値上げに強い憂慮の念を禁じ得ません。文
部科学省はこれらの点を慎重に考慮し、授業料の値上げについて是非再考されるよう
強く要請いたします。


 平成16年12月21日

 東京大学          佐々木 毅
 東京医科歯科大学      鈴木 章夫
 東京外国語大学       池端 雪浦
 東京学芸大学        鷲山 恭彦
 東京農工大学        宮田 清蔵
 東京芸術大学        平山 郁夫
 東京工業大学        相澤 益男
 東京海洋大学        高井 睦雄
 お茶の水女子大学      本田 和子
 電気通信大学        益田 隆司
 一橋大学          杉山 武彦