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新首都圏ネットワーク


『産経新聞』2004年12月27日付

三井住友銀 産学連携へ出合いの場 中小企業60社参加


 三井住友銀行はこのほど、大学と中小企業に出合いの場を提供する「産学連
携・テクノロジーマッチング」を都内で開いた。大学の高度な技術を中小企業
の事業拡大に役立てようという相談会で、教授陣の説明に熱心に耳を傾ける中
小企業経営者らの姿が見られた。

 大手銀行が取引先の中小企業同士を一堂に引き合わせる「ビジネスマッチン
グ」は相次いで開催されるようになってきたが、大学と企業を結ぶ例はまだ少
ない。

 三井住友は十一月、中小企業集積地である東大阪市の工作機械やネジメーカー
など約二十社を集めて大阪大学との相談会を開催しており、今回はそれに続く
もの。三井住友が産学連携で業務提携している東京大学、東京工業大学、東京
農工大学、京都大学国際融合創造センターの四大学と、取引先である東京、大
阪などの中小企業約六十社が参加して商談した。

 国立大学は従来、主に大企業との共同研究や、基礎研究のビジネスへの応用
などの産学連携に取り組んでいた。だが大学の独立行政法人化により、より多
くの資金を外部から調達する狙いもあって、パートナーを中小企業にも広げよ
うとする機運が高まっている。

 中小企業にも、新規事業参入や事業拡大にあたり、高度な技術を低コストで
導入したいという期待がある。商談が成立した場合、銀行は企業から紹介手数
料を取る仕組みとなっており、銀行にとっても中小企業を育成し将来の融資拡
大につなげることができる。

 ただ、大学側が「世界初を狙った基礎研究を続けており、すぐ製品化につな
がる技術を期待しないでほしい」(東京工業大学)と中長期的な共同研究を目
指しているのに対し、中小企業側は廉価な技術と即戦力となる新商品を求めて
おり、両者には温度差がある。

 成約実績はまだなく、実を結ぶまで時間がかかりそうだが、仲介するSMB
Cコンサルティングは「双方のギャップを埋めると同時に、サービス提供分野
を、語学など理系以外にも広げていくことが課題。そのためにも今後は、より
多くの大学や専門学校、地方自治体と連携していきたい」と話している。