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新首都圏ネットワーク


[AcNet Letter 224] 「ボランティアに頼る元国立大学」
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Academia e-Network Letter No 224 (2004.12.26 Sun)
http://letter.ac-net.org/04/12/26-224.php

━┫AcNet Letter 224 目次┣━━━━━━━━━ 2004.12.26 ━━━━

【1】石田 雄 著「日本の政治と言葉 下」「平和」と「国家」 抜粋
東京大学出版会 ISBN 4-13-033046-2, 1989 初版
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/hb/honten/wshosea.cgi?W-NIPS=9890891581&MAPM=1

【2】理系白書ブログ: 雑感 2004.12.20 #(科学技術基本計画考)
http://spaces.msn.com/members/rikei/Blog/cns!1pqciTw8cEc9bQRgc8cCtTYg!649.entry

【3】Blog: Dr. BLUE > University 2004.12.25
ボランティアに頼る元国立大学
 http://homepage.mac.com/k_kudo/iblog/B2007620793/C72830529/E1392838364/index.html

【4】立川反戦ビラ事件無罪判決を支持する法学者声明
http://www.jca.apc.org/~kenpoweb/041216tachikawa_statement.html

 【4-1】立川反戦ビラ事件判決 全文
  http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-hanketu.htm

 【4-2】Yahoo News Headline (毎日新聞)12月24日20時33分更新
   <イラク派遣反対ビラ>無罪判決不服、東京地検支部が控訴
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041224-00000118-mai-soci

 【4-3】レポレロ氏からのおたより紹介 04.12.21(Tue.)
寺西判事補の著書「愉快な裁判官」の紹介

 【4-4】毎日新聞 12月25日
<住居侵入容疑>共産党のビラ配り逮捕 東京・葛飾
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041225-00000085-mai-soci

【5】TUP 速報 430号 失われたファルージャ 041224
2004年12月24日(金) 午前11時03分
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/460

【6】編集後記:教育系大学からのお便り、東北大学の学長選挙廃止、他

━ AcNet Letter 224 【1】━━━━━━━━━━ 2004.12.26 ━━━━━━

本の紹介(続き)

 石田 雄 著「日本の政治と言葉 下」「平和」と「国家」 抜粋
東京大学出版会 ISBN 4-13-033046-2, 1989 初版
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/hb/honten/wshosea.cgi?W-NIPS=9890891581&MAPM=1

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後編 「くに」とは何かーー「国家」観と「国民」観ーー序章より

p157 『権力機構としての「国家」は、強制組織としての人間の作
為によってつくり出されたものであり、したがって個人がえらび、
あるいは変えられることができるものである。これに対して、共
同生活体としての「国民」は、自然的に生成発展したものであり、
個人が生れながらに所属するものである。

「国家」と「国民」がこのような形で明確に区別され、その違いが
意識されているときには、「国家」の意味は限定され、それに期
待される機能も特定される。(中略)

これに反して、「国家」と「国民」とが混淆されると、「国家」
は人為的な機構ではなくなり自然的所与と考えられるから、選択
や改革の余地がなくなる。それだけではなく、「国家」の意味や
機能の限定性がなくなり、国家権力が私的領域に介入することを
許す傾向が生れる。』

━ AcNet Letter 224 【2】━━━━━━━━━━ 2004.12.26 ━━━━━━

理系白書ブログ: 雑感 2004.12.20
http://spaces.msn.com/members/rikei/Blog/cns!1pqciTw8cEc9bQRgc8cCtTYg!649.entry
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抜書

『総合科学技術会議が主導した第二期科学技術基本計画は、一 部の
方はご存知のとおり、重点分野を4件指定して、そこに金を集中
投資しようというものです。基礎研究も大切だ、ということは強
調されていますが、実際には基礎研究の中でも重点分野以外には
金がいきにくい構造になっています。アクションプランができた
結果、何が生まれたか。

その1.競争的環境が強まりました。よい方向へ向かったものも、
悪い方向へ向かったものもあります。

その2.「恐るべき」額の税金が、科学技術関連事業につぎ込ま
れました。5年間で24兆円という計画です。それで育った分野と、
育たなかった分野があります。

その3.科学技術がある意味で「金看板」になり、霞が関のお役
人や議員が「科学技術に乗っかるとおいしい」という気持ちを持
ち始めました。少なくとも科学技術関連予算だけは、不況の中で
も右肩上がりです。物事には必ず、表裏があります。ですから
「恐るべき発展」は、評価できる面と評価できない面をはらんで
います。』

『研究者たちが自分の意思で、自分の実力の範囲でできることをやっ
ていれば科学技術は進展するのであって、お上は口を出すなとい
うのだと、おそらく今のような発展はなかったでしょう。逆に言
えば、お上ができるのは、ちんどん屋的な支援が精一杯。それで
も、やらないよりやった方がいいと私は思います。』

『国(行政)に望むのは、1期と2期の計画でもってがむしゃらに
肥料をまいて耕した畑に、3期で何を植え、どう育て、収穫物を
何に生かすのかという長期的(5年ではおさまらない)なビジョン
です。その計画の「受益者」であるべき研究者や技術者、大学生、
「利害関係者でない傍観者」のマスコミが、これからどう、くち
ばしを突っ込んでいくかが重要だと思います。』

━ AcNet Letter 224 【3】━━━━━━━━━━ 2004.12.26 ━━━━━━

Blog: Dr. BLUE > University 2004.12.25
ボランティアに頼る元国立大学
http://homepage.mac.com/k_kudo/iblog/B2007620793/C72830529/E1392838364/index.html
──────────────────────────────

「とある国立大の非常勤講師をしている。で、独立行政法人化さ
れた。予算がないと同級生の教授が言っていた。そうなんだあ 
と思っていた。

 先日、メールで 非常勤講師の 予算がなく 講師料も交通費
も出せないけど やってくれるか?という 連絡が来た。笑って
しまった。どうせその大学図書館にはちょくちょく行くので、い
いよと返事はしておいた。

 しかし、そういうことが可能なんだろうか? まさに ボラン
ティアの教員に講義を頼むわけで、天下の元国立大がね、、、?
?? と ここまで 日本の高等教育も地に落ちたかと。

 私は ボランティアで やることに やぶさかではないけど 
そういうボランティアに頼るような 大学では 日本の教育立国
も 遠い昔のことなのだと 小泉さんは 一俵だか百俵の米とか
おっしゃっていたが 言行不一致で いいかげんなひとだ。」


━ AcNet Letter 224 【4】━━━━━━━━━━ 2004.12.26 ━━━━━━

立川反戦ビラ事件無罪判決を支持する法学者声明
http://www.jca.apc.org/~kenpoweb/041216tachikawa_statement.html
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立川市内の防衛庁官舎で、イラク派兵に反対する内容のビラを投
函した市民グループ「立川自衛隊監視テント村」のメンバー三人
が、住居侵入罪の容疑で、逮捕・起訴された事件の判決言い渡し
が、一二月一六日に東京地方裁判所八王子支部であった。

1 判決内容

判決は、三人が行ったビラ投函は憲法二一条一項の保障する政治
的表現の一態様であり、民主主義社会の根幹を成すものとして、
営業活動など経済的自由に比して「優越的地位」にあり、憲法上
特に強い保障を受けると判示した。このように表現の自由の意義
を確認したうえで、政治的見解を伝える動機で、官舎の住人のプ
ライヴァシーを侵害する程度が非常に低い態様で、防衛庁官舎に
立ち入った三人の行為は、刑罰を加えるほどの違法性がないとし
て、無罪判決を言い渡した。

またこの判決は、住居侵入罪の構成要件について、従来の最高裁
判所の判例の立場と同様に、意思侵害説に立ち、また住居侵入罪
の対象について、集合住宅の個々の居室、通路および敷地を「一
体」のものと捉えるという見解を示した。そして、三人の行為は、
住居侵入罪の構成要件を満たすとした上で、しかし、行為の動機
が政治的意見表明を目的とした正当なものであり、手段も相当な
ものであり、その行為の結果も法益の侵害の程度が極めて軽微と
いう三点において刑罰を加えるほどの違法性がないとした。

すなわち管理人ないし住人から、明確な意思表示があったわけで
はないこと、ビラの内容自体には「威力」をちらつかせたり、法
によって保護されるべき住人の何らかの利益を侵害するところが
ないこと、三人が属する市民グループの普段の活動も暴力を用い
て政治的主張を行うものではないこと等の事実を詳細に認定した
上で、無罪判決を言い渡したしたのである。


2 私たちは、この無罪判決を支持する。

私たち法学者は、民主主義社会における表現の自由の意義につい
ての適切な評価を踏まえて、丁寧な事実認定と説得力ある論理に
基づいた無罪判決を支持する。

また、この無罪判決が、今回の捜査、逮捕及び起訴が、極めて不
当なものであったことを浮き彫りにさせるものであることを確認
する。


3 私たちは、次のことを要求する。

以上に述べた無罪判決の意義にかんがみて、私たちは、次のこと
を強く要求する。

検察は、民主主義社会における表現の自由の意義および最高裁判
所の判例に照らしても無罪判決が当然の結論であることを深く理
解し、この事件の控訴を行うべきではない。

防衛庁官舎等の管理人および住人は、この事件における三人の行
為のような民主主義社会が当然に前提とする表現活動の意義を認
識し、プライヴァシー侵害などの重大な不利益が発生する等の場
合を除いては、安易に拒絶の意思表示を行うべきではない。また
拒絶の意思表示をする場合であっても、住人一人一人の判断を尊
重すべきである。

最後に、私たち法学者は、少数意見への寛容さが急速に失われつ
つある日本において、三人を無罪とした裁判官の見識に敬意を表
するとともに、この無罪判決をきっかけにして、民主主義社会に
おける表現の自由の重要性を再確認することを、すべての市民に
呼びかける。

二〇〇四年一二月一六日

呼びかけ人 奥平康弘(憲法研究者)、山内敏弘(龍谷大学・
憲法学)、松宮孝明(立命館大学・刑法学)

賛同者(12/24 更新)

愛敬浩二(名古屋大学)      鮎京正訓(名古屋大学)
 青井未帆(信州大学)       麻生多聞(鳴門教育大学)
 安達光治(國學院大學)      足立英郎(大阪電気通信大学)
 綾部六郎(北海道大学)      飯島滋明(工学院大学)
 飯田泰雄(鹿児島大学)      生田勝義(立命館大学)
 井口秀作(大阪産業大学)     池端忠司(香川大学)
 石川裕一郎(早稲田大学)     石埼 学(亜細亜大学)
市川正人(立命館大学)      伊藤雅康(札幌学院大学)
稲 正樹(大宮法科大学院大学)  井端正幸(沖縄国際大学)
今関源成(早稲田大学)      岩佐卓也(神戸大学)
 植松健一(島根大学)       植村勝慶(國學院大學)
 右崎正博(獨協大学)       浦田一郎(一橋大学)
浦田賢治(早稲田大学)      蛯原健介(明治学院大学)
 遠藤隆久(熊本学園大学)     遠藤美奈(摂南大学)
 大久保史郎(立命館大学)     大河内美紀(新潟大学)
岡本篤尚(神戸学院大学)     小栗 実(鹿児島大学)
 小沢隆一(静岡大学)       押久保倫夫(兵庫教育大学)
 柏崎敏義(関東学院大学)     加藤一彦(東京経済大学)     
 紙野健二(名古屋大学)      上脇博之(神戸学院大学)     
 川岸令和(早稲田大学)      北川善英(横浜国立大学)     
 君島東彦(立命館大学)      葛野尋之(立命館大学)      
 楠本 孝(三重短期大学)     久保田穣(東京農工大学)     
 倉持孝司(甲南大学)       小竹 聡(愛知教育大学)     
 小林 武(愛知大学)       小松 浩(神戸学院大学)     
 木幡洋子(愛知県立大学)     近藤充代(日本福祉大学)     
 斉藤小百合(恵泉女学園大学    阪口正二郎(一橋大学)      
 佐々木弘通(成城大学)      佐々木光明(神戸学院大学)    
 笹沼弘志(静岡大学)       澤野義一(大阪経済法科大学)   
 清水雅彦(明治大学)       新屋達之(大宮法科大学院大学)  
 杉浦一孝(名古屋大学)      杉原弘修(宇都宮大学)      
 鈴木眞澄(龍谷大学)       隅野隆徳(専修大学)       
 芹沢 斉(青山学院大学)     高佐智美(獨協大学)       
 高橋利安(広島修道大学)     高村学人(東京都立大学)     
 武川眞固(高田短期大学)     多田一路(大分大学)       
 只野雅人(一橋大学)       館田晶子(跡見学園女子大学)   
 田中康博(神戸学院大学)     塚田哲之(福井大学)
 土屋清(山梨学院大学)      角替 晃(東京学芸大学)
 寺川史朗(三重大学)       豊崎七絵(龍谷大学)
 長岡 徹(関西学院大学)     中島茂樹(立命館大学)
 中島 徹(早稲田大学)      永田秀樹(関西学院大学)
 長塚真琴(獨協大学)       中富公一(岡山大学)
 長峯信彦(愛知大学)       永山茂樹(東亜大学)
 成澤孝人(三重短期大学)     名和鐵郎(獨協大学)
 西原博史(早稲田大学)      丹羽 徹(大阪経済法科大学)
 庭山英雄(刑事法研究者)     根森 健(新潟大学)
 坂東行和(四日市大学)      東澤 靖(明治学院大学)
 平井佐和子(西南学院大学)    藤原俊雄(静岡大学)
 本田 稔(立命館大学)      前田 朗(東京造形大学)
 前原清隆(長崎総合科学大学)   松井幸夫(関西学院大学)
 水島朝穂(早稲田大学)      緑 大輔(広島修道大学)
 宮地 基(明治学院大学)     宮本弘典(関東学院大学)
 三輪 隆(埼玉大学)       宗野隆俊(滋賀大学)
 村井敏邦(龍谷大学)       村田尚紀(関西大学)
 本 秀紀(名古屋大学)      元山 健(龍谷大学)
 森尾 亮(久留米大学)      森川恭剛(琉球大学)
 森 英樹(名古屋大学)      柳井健一(山口大学)
 山口和秀(岡山大学)       山崎英壽(日本体育大学)
 山元 一(東北大学)       横田 力(都留文科大学)
 吉田省三(長崎大学)       和田 進(神戸大学)
 渡辺 治(一橋大学)       渡辺 洋(神戸学院大学)
      
              呼びかけ人3名含む賛同者計123人
    
 声明事務局 石埼学 ma1968 at msj.biglobe.ne.jp

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【4-1】立川反戦ビラ事件判決 全文
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-hanketu.htm

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【4-2】Yahoo News Headline (毎日新聞)12月24日20時33分更新
<イラク派遣反対ビラ>無罪判決不服、東京地検支部が控訴
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041224-00000118-mai-soci
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「自衛隊のイラク派遣に反対するビラを配るため、東京都立川市
の防衛庁官舎に立ち入ったとして、市民団体のメンバー男女3
人が住居侵入罪に問われた事件で、東京地検八王子支部は24
日、3人をいずれも無罪(求刑・懲役6月)とした東京地裁八
王子支部の判決(16日)を不服として、東京高裁に控訴し
た。」

──────────────────────────────
【4-3】おたより紹介 04.12.21(Tue.)
レポレロ氏(国立大学法人職員)から
─────────────────────────────

裁判官も政治的な集会に出る自由はあると主張して数年前に分限
裁判の被告にされた寺西判事補の著書「愉快な裁判官」(寺西和
史著、河出書房新社、2000.4、この書名は気の抜けるものだが)
に「麻薬・覚醒剤の所持者を逮捕しようと警察官が踏み込んだ時
に同じ家の中にその友人がいた場合、他の裁判官の殆どは一緒に
逮捕することを認める(つまり逮捕令状を出してしまう)が、友
人でも知らない場合はありうるからこれはおかしい」と書いてい
ます。警察官が令状を請求すれば殆どノーチェックで通してしま
うとのこと。つまり「癒着・馴れ合い」関係になってしまってい
る。ただ、裁判官は少ない人数で多くの事件を抱え、夜間・休日
にも「令状当番」がある、といった事情もあるようです(ただ、
誰かが意図的にそのような状況を作っている可能性もあります
が)。この立川事件も同じ構造では?

| AcNet Letter 222(5) 2004.12.21
| 東京新聞社説 2004.12.18
| ビラ配り無罪 裁判官も反省すべきだ
| http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20041218/col_____sha_____002.shtml
| ─────────────────────────────
| 抜書『立川事件の被告が七十五日間も身柄を拘束されたのは裁判官
| が拘置を認めたからだ。身元も明らかで逃亡や証拠隠滅の恐れが明
| らかにあるとはいえない人たちを拘束し続けたのは、警察や検察の
| 主張を無批判に受け入れたとしか思えない。』

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【4-4】毎日新聞 12月25日
<住居侵入容疑>共産党のビラ配り逮捕 東京・葛飾
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041225-00000085-mai-soci


━ AcNet Letter 224 【5】━━━━━━━━━━ 2004.12.26 ━━━━━━

TUP 速報 430号 失われたファルージャ 041224
2004年12月24日(金) 午前11時03分
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/460

TUP速報の申込:http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/
─────────────────────────────

失われたファルージャ――Faluja again and for ever

                   イラクにて
                   スレイマン
 
 友よ、残念だ
 平和を愛する人々よ、残念だ

 ファルージャ…に行くことは、もうできない
 通りで遊ぶ無邪気な子どもたちを見ることは、もうできない
 ファルージャの人々から平和な微笑を得ることはできない
 小さな街の神秘的な朝を見ることはできない

 それらは永遠に失われた
 ファルージャは殺された…

 ファルージャは、石油の代償、政治的な論争の代償を払った

 殺された街の魂は私たちすべてに問いかける.
 世界の良心に問いかける
 なぜ?
 次はどうなるの?

 誰が助けてくれるのだろう?
 瓦礫のファルージャ、あちこちの遺体に答えることを

 ファルージャの殺戮、平和と歴史の殺戮を見続けたことを
 誇るべきなのだろうか

 たとえ忘れ去ったとしても、
 ファルージャの魂は私たちに思い起こさせる

 すべてのものがファルージャの殺戮を分かち合ったことを

                   (翻訳:細井明美)

━ AcNet Letter 224 【6】━━━━━━━━━━ 2004.12.26 ━━━━━━

編集後記:教育系大学からのお便り

──────────────────────────────
■ある教育系国立大学法人の方からメールを頂いた。学長が、知
りあいの国会議員に国立大学の学費を値上げしないように働きか
けている、とのことである。メールの中で次のような内容が記さ
れていた。

「国立大学が圧力団体としての組織と力を持って来なかった点
は、悔やまれます。国立大学はどこも、金集めになりふり構
わぬようになって来ました。みみっちいかも知れませんが、
大学生協からも何かと寄付や使用料を取ろうという動きがあ
るようです。教育系大学は社会(企業)との連携といっても
相手がいません。ある大学ではプロサッカーのチームにグラ
ウンドを使わせる代わりにその整備などをさせるというのを
昨年からはじめました。」

「ごまめのはぎしり」Blog (AcNet Letter 222-3)で、紹介されて
いたが、日本は、高等教育の漸進的無償化を規定する国際人権A
規約の十三条二項(C)(1966年国連総会採択)を批准して
おらず、2001 年に国連社会権規約委員会から批准するように勧告
されている。財務省が高等教育費自己負担化の「国策」を25年に
わたり漸進的に進めてきており、これからも進めるつもりである
以上、批准できないのは当然とも言えるが。少子化の主要な原因
の一つとされている高額な高等教育費を、さらに高額にしようと
するのだろうか。誰がそれを望んでいるのだろうか。だれもが高
等教育を受けるようになると国民の意識が高まり国家主義が色あ
せてしまうことを懸念している人たちでもいるのであろうか。

しかし、大学は学生を専門家にする教育には全力を上げているが、
学生の視野を拡げ意識を高める責務を組織として追求しているの
だろうか。


■『河北新報』は2004年12月26日付で、東北大が学長選挙の廃止
の方針を固めたことを報じた。広島大学で助手を学長選挙から外
す方針が伝えられた(http://letter.ac-net.org/04/12/21-222.php)
ばかりだが、東北大学が、方針通り選挙自身を廃止するとすれば、
落ちるところまで落ちた感を否めない。組織票による学長選挙の
操作の弊害は大きいが、学外者を半数含む学長選考会議が実質的
に学長を決める弊害は、大学の独立性の喪失・世の中の潮流への
大学の順応の加速・それに伴う構成員の士気の低下、等々、学長
選挙の弊害と比較などできないほど深刻であろう。


■ 【1】で紹介した石田氏の著書によれば、日米開戦のわずか6年
前までは論壇では国家主義批判が盛んであったそうである。しか
し、巷間のナショナリズムの昂揚が論壇にも影響を与え、「国民
協同体」論が展開されて、国家の権力性への批判的視点が失われ
た後に、「(高度)国防国家論」に移行して国民の自由は国家の
ために否定され、最後に「兵営国家」に至ったという。現在とは
異なる種々の政治的・法的・社会的背景があるとはいえ、比較的
に言論が自由であった状況から、わずか数年で挙国一致体制が実
現されている。

今年は、国家の政策の犠牲となって若い国民が殺され、普通とは
違う生き方をしている国民だか仕方がない、と、世論がそれを了
承した。「非国民」という言葉を使った政治家が政治的生命を失
うこともなく容認された。戦争に反対して静かにデモをしたり情
報提供のビラをまいたりする、というような平穏な行動において、
人々が逮捕され家宅捜索され、時には3ヶ月近く拘禁されるリンチ
が公然と続いている【4-4】が、大手メディアは問題にもしない。

「挙国一致」への流れが、もはや紛れることなく顕在化した年で
あった。イラク戦争批判をする者に「非国民」という言葉を投げ
つける論者が大手新聞に多数登場する日もそう遠くはない。戦前
と同様に、大学関係者の大半が、もはや万事休す、と、沈黙し、
自分の研究の世界に閉じこもる時が来たのであろうか。

その中で、法学者123名の声明【4】は朗報であった。種々の面で
力付けられた人も多い。理工医系の研究者は、挙国一致の雰囲気
がこのまま濃厚になっていけば、財政誘導を通して種々の形で軍
事研究に巻きこまれていく。日々没頭する研究の喜びが、世界の
別の地域の人々の日常生活を命もろとも効率よく消滅させること
【5】に直結する時代が近づいている。戦慄すべきことではなかろ
うか。

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編集発行人連絡先: admin@letter.ac-net.org
趣旨:http://ac-net.org/letter/
ログ:http://ac-net.org/letter/log.php
#( )内は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分
登録:http://letter.ac-net.org/s.php
転送歓迎(転送時に:http://ac-net.org/letter 併記希望)