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『陸奥新報』2004年12月21日付 弘前大が授業料値上げに反対声明文 文科省などに岩手大・秋田大と財政支援も訴える 弘前大学は二十日、国立大学の年間授業料の目安である標準額の引き上げに 対し、文科省などに再考を求める反対声明文を岩手、秋田との連携による北東 北国立三大学で提出したことを明らかにした。実施した場合、学生や保護者の 負担を強いる上、財源豊富で引き上げを行わない中央の大学に学生を奪われる 可能性が高くなるのが理由。しかし弘大の場合、授業料を据え置くと、収入源 で弱体化が懸念されるジレンマを抱えており、遠藤正彦学長は「教育研究基盤 の充実には国の予算面からの支援が必要」と訴えた。 学生の払う授業料は法人化後、大学の直接収入となっている。弘大の年間授 業料は、現在の標準額と同じ五十二万八百円で、引き上げ後は一万五千円増の 五十三万五千八百円。 直接収入で賄えない分は国からの運営交付金で補われる。 以前から出ていた引き上げ案に対し、全国の国立大学長で組織される国立大 学協会は今月八日、臨時総会を東京で開催。「経済状況に左右されず、能力・ 適正に応じて進学できる機会を確保するのが国立大学の役割」とし、「値上げ を容認できない」とする要請文を文科大臣に提出した。 弘大も岩手、秋田の両大学とともに、(1)所得の低い東北の若者の受け皿 となっている中で、学生の負担増は避けたい(2)運営交付金との関連が明確 でない(3)大学間格差を助長する―とし、反対表明の声明文を十八日に提出 していた。 弘大では奨学金を受けたり授業料免除を申し出る学生も少なくなく、四年間 で六万円の負担増は決して軽いとは言えない。 しかし据え置きとした場合、大学は約一億円の収入減となり、その穴も運営 交付金で埋められない可能性が高い。 記者会見した遠藤学長は「世界一高い日本の国立大学の授業料が上がれば、 地域の『知的創造サイクル』が壊れ、中央との格差が拡大する」と述べ、授業 料の現状維持を訴えた。 |