トップへ戻る   以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク


              声 明 文

       「国立大学授業料の値上げについて再考を」


 文部科学・財務両省は14日、国立大学の年間授業料の目安となる「標準額」
を来年4月、現行の52万800円から1万5000円引き上げ、53万58
00円とする方向で調整に入った、という突然のインターネット上の情報に、
私たち学長は仰天していると同時に、学生やその保護者に対して誠に申し訳な
いと思っている。

 12月8日、国立大学長の集まりである国立大学協会が、臨時総会を東京で
開いて、文部科学省の授業料値上げや老朽校舎整備のための施設整備費補助金
の大幅カットの動きについて意見を交わし、こうした事態が現実化しないよう、
要請文「国立大学関連予算の充実について」を全員一致で決議し、中山成彬文
部科学大臣に提出したところである。その主要な要請内容は次のとおりである。

 平成17年度予算等における要請

(1)運営費交付金の確保・充実

 教育・人材立国、科学技術創造立国の重要な拠点である国立大学が、意欲的
な特色ある取り組みを継続して推進し、法人化のメリットを活かすことができ
るよう、運営費交付金の確実な確保を図ること。

(2)学生納付金標準額の据え置き

 学生が、経済状況に左右されることなく、能力・適性に応じて進学できる機
会を確保するという国立大学の役割を果たすため、中期計画期間における学生
納付金の値上げは容認できないこと。

(3)施設整備費の大幅増

 「国立大学等施設緊急整備5か年計画」の達成、特に、老朽施設の着実な整
備は、より高い教育研究の成果を実現するために欠かせない緊急な課題であり、
施設整備費補助金などの大幅な増額を図ること。 


 私たちの願いとは反対に、国立大学の学生納付金が法人化前と同様に、授業
料と入学料の値上げが隔年で交互に実施されれば、国立大学法人の使命である、
国民が能力に応じて高等教育を受ける機会を保障しにくくなる。特に、中国・
四国地域の国立大学にあっては、経済状況に左右されることなく、地域から幅
広く能力のある学生を集め、地域社会の中核となる人材を育成して、地域社会
のあらゆる分野に大きく貢献してきた。しかし、世界一高い国立大学の授業料
であるにもかかわらず、さらに値上げが続けば、地域における「知のサイクル」
が壊れ、地方と中央の格差はますます拡大し、地域の発展は期待しがたいこと
となる。

 教育・科学技術創造立国を目指すわが国としては、その拠点となる国立大学
の教育研究基盤の充実を図れるよう、国が予算面からも支援して、安易に授業
料の値上げをしないよう強く訴える。


      平成16年12月16日


中国・四国地区国立大学法人

鳥取大学長  道上 正規
島根大学長  本田 雄一
岡山大学長  河野 伊一郎
広島大学長  牟田 泰三
山口大学長  加藤 紘
徳島大学長  青野 敏博
鳴門教育大学長 高橋 啓
香川大学長  木村 好次
愛媛大学長  小松 正幸
高知大学長  相良 祐輔