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『毎日新聞』2004年12月7日付 法人化の時流 国立大初のコンビニ、京大構内にローソン開店 /京都 ◇三者思惑交錯−−大学側、収益面寄与期待/企業側「宣伝効果大きい」/ 生協は迎え撃つ自信あり 国立大の構内では初めてとなるコンビニエンスストアとして、京都大吉田キャ ンパス(左京区)に6日、ローソンの「京都大学店」がオープンした。「競争 原理の導入」という法人化を象徴するコンビニ出店に、大学側、企業側、ライ バルの生協などそれぞれの思惑が交錯する。約3万人に上る学生や教職員ら 「消費者」の評価は−−。 【野上哲】 コンビニはキャンパス南側の校舎・吉田南総合館の地下に開店した。売り場 面積は約180平方メートル。年末年始を除き無休で、営業時間は午前7時か ら午後9時まで。防犯上の理由などから24時間化は見送った。 京大は「地域の人にも来てもらい、開かれた大学をアピールしたい」(共通 教育推進室)とするが、裏にはしたたかな計算もある。コンビニはあくまで大 学の「福利厚生事業の委託」との位置付けで、利益は寄付などの形で大学に還 元する契約だ。大学側は法人化後に独自資金の獲得を迫られる中、収益面の寄 与を期待する。他の国立大からの問い合わせも10校以上あった。 一方のローソン側。品ぞろえはミネラルウオーター各種や無添加ポテトチッ プス、粉せっけんなど「ナチュラル」をキーワードに健康や環境への配慮を強 調。学生向けに文房具スペースを広げ、コピー機も2台置いた。この日のオー プンセレモニーは多数の報道機関が取材。空調や電気設備など初期投資はロー ソン側の負担だが、「京大」の宣伝効果は大きい。篠崎良夫・近畿ローソン支 社長は「『ナチュラル』を売りにした店舗は西日本初。パイロット店になる」 と言い、時代に敏感な学生の動向にも注目する。 そして、迎え撃つ京大生協。売上高は年間75億円で目標2億円のコンビニ とは規模が違うが、平信行・京大生協専務理事は「詳細な価格や内容は今日知っ た。『ナチュラル』など従来のコンビニとも違う」と警戒感を示す。ただ「生 協なら午後10時まで営業の食堂できちんとした食事を提供できる。学生の要 望に応えてきた実績、食の安全やエコ商品を重視してきた自負もある」と自信 も見せる。 コンビニ導入を発案した尾池和夫学長は「学生はコンビニと共に育った世代 で、導入は当然の流れ。生協や地元商店とが最適な配置になれば」と共存共栄 を強調する。 この日、店を訪れた理学部1年生の大野正人さん(19)=左京区=は「品 ぞろえは問題ない。ただ、気になるのは頻繁に買う飲み物。運動をしているの で500ミリリットルや2リットル入りをよく買う。生協やスーパーに比べて 割高」と指摘。シビアな選別が早速始まっている。 |