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新首都圏ネットワーク


『読売新聞』2004年12月4日付

大学の女性研究者「未婚・子なし」の割合、企業研究者より高率


 結婚や出産をためらう女性研究者が、民間企業ではこの20年間で急減した
のに、大学ではあまり変化せず、半数が子供を持たずに終わるという実態が、
研究者団体による初の大規模調査で明らかになった。

 ここ数年、若手研究者のポストが終身雇用から任期付きへ移行するなど、実
績を上げないと職を失う傾向も強まっており、同団体は「適齢期に出産や育児
の休暇を取れない状況が一層深刻化している」と懸念、支援策の必要性を訴え
ている。

 調査は、24学会が加盟する「男女共同参画学協会連絡会」が実施。仕事と
家庭生活に関するアンケートを理工系の39学会の全会員に送り、約1万93
00人が回答した。

 その結果、約48%を占める大学の研究者では、この20年間に就職した若
手でも、女性は未婚率が高く、子供の数は40歳代でも平均1人に満たなかっ
た。「子供がいる人に限ると平均2人なので、女性研究者のほぼ半数が一生、
子供を持たないことになる」という。

 一方、企業の研究者(36%)では、研究費や部下数など仕事面での男女格
差が依然残るものの、「配偶者の有無」や「子供の数」は44歳以下では男女
差がほとんどなかった。調査結果をまとめた近藤高志・東大助教授は「198
6年に男女雇用機会均等法、92年に育児休業法が施行された効果」とみてい
る。

 同連絡会は、常勤職に就いていない若手研究者向けの保育支援制度の実現な
どを、政府や大学に働きかけている。