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新首都圏ネットワーク


よみうり教育メール 2004年11月30日付

信州大が法人化で産業界と連携強化(長野)


 信州大学が、地元産業界との連携を強化している。今年4月の国立大学法人
化で、大学の裁量が拡大した反面、国からの予算が削減され、自前の資金調達
が必要になったからだ。信大は製造業との連携を軸に、生き残り戦略を描いて
いる。

 今月18日、信大工学部は産業機械製造のオリオン機械(本社・須坂市、太
田哲郎社長)と「包括的連携協定」を結んだ。今後は、信大が持つ分析や計測
などの研究成果と、同社の製品化のノウハウを結びつけ、複数のプロジェクト
を発足させる方針だ。商品化に成功すれば、信大工学部はロイヤルティー(特
許権使用料)などの形で一定の取り分を確保する。

 野村彰夫学部長は、締結式後の記者会見で「協定は期待されている流れかと
思う。政府は全国で700ある大学の一部をつぶせと言っているが、信大は生
き残る自信がある」と意気込みを語った。

 国立大学法人化に伴い、「荒波の時代を迎えた」(本部事務局幹部)と受け
止める信大。研究成果を財源確保につなげ、それを研究に再投資することに成
功しないと「先細りは避けられない」(同)。研究を担う人材を確保するため、
戦略的にブランドイメージを上げる必要も出てきた。

 こうした中、信大は相次いで改革を打ち出している。昨年2月、信大教授ら
が出資し、セイコーエプソン(本社・諏訪市)から特許の専門家を社長に迎え、
信大から産業界への技術移転やマーケティングなどを行う株式会社・信州TL
O(本社・上田市、山崎淑夫社長)を設立した。

 さらに今年から、学内に「特任教授」ポストを新設し、「将来は民間企業か
ら大学と企業をつなぐ人材を招く」(藤沢謙一郎副学長)ことを検討している。