トップへ戻る   以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク


『京都新聞』2004年11月29日付

COE2件は計画縮小へ
先駆的研究の中間評価

 先駆的な研究に予算を重点配分する文部科学省の「21世紀COEプログラム」
で、初年度の2002年度に採択された50大学113件に対する中間評価が
29日、公表された。

 評価は5段階。研究中止を求める最下位のEはなかったが、九州大と法政大
の研究計2件が下から2番目のDとなり「今後の努力を待っても目的達成は困
難と思われ、計画の大幅縮小が必要」とされた。

 評価した日本学術振興会の委員会は、当初は4段階評価と決めていたが、こ
の2件が最下位の「中止相当」になったことを受けて変更。公表約1カ月前に
D評価を設け2件を該当させた。”救済措置”を疑問視する声も出ている。

 2件は九州大の「東アジアと日本:交流と変容」と法政大の「日本発信の国
際日本学の構築」。3年間で交付された補助金はそれぞれ約2億5000万円
と約2億1000万円。

 いずれも内容を大幅に絞り込み、1年後にあらためて評価を受ける。補助金
は減額する見通し。

 最も良いAの「計画は順調に実施」が41件、Bの「目的達成には一層の努
力が必要」が60件で、両方で全体の89%を占めた。Cの「当初目的の達成は
難しいので計画の適切な変更が必要」は10件。

 02年度に最多の11件が選ばれた東大はA6件、B5件だった。

 COEプログラムは期間5年で、3年目に中間評価を受けることになってお
り、全体を通じ初の中間評価になった。

 文科省は救済措置について「評価は、研究への助言や補助金の適正配分のた
めであり、事業から落とすことが目的ではない」と理解を示した。

 京都、滋賀関係で初年度に採択された京都大と立命館大は、それぞれ1件ず
つがC評価を受けた。他の研究については京大は、A4件、B6件、C1件、
立命はB2件。また関西学研都市の奈良先端科学技術大学院大(生駒市)はA、
B各1件だった。

 京大は生命科学分野の2件などでA評価を得たが、人文科学の「心の働きの
総合的研究教育拠点」(文学研究科)は「従来研究の延長という面が強く」
「抽象的なテーマ」と指摘され、C評価になった。入倉孝次郎副学長は「コメ
ントがあった拠点については、拠点リーダーと相談して今後の対応を検討した
い」と話した。

 立命館大では「マイクロ・ナノサイエンス・集積化システム」(理工学研究
科」がCで、研究体制再構築や若手研究者の主体的参画が求められた。長田豊
臣学長は「研究目標の進ちょくや成果が一定評価されていることはうれしく思
うが、改善を要する部分もあり一層努力したい」とコメントした。

 一方、奈良先端大の鳥居宏次学長は高く評価された若手研究者育成システム
について「本学の理念目的の一つで大変うれしく思う。国際競争力のある大学
づくりを推進したい」と話した。