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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』岩手版 2004年11月25日付

県立大新学長に谷口元国連大使


 増田知事は25日の定例記者会見で、来春で退任する西沢潤一・県立大学長
の後任として、元国連大使で早大現代中国総合研究所顧問の谷口誠氏(74)
を起用すると発表した。盛岡、宮古の両市にある短期大学の学長も兼ねる。公
立大学法人化に伴う新しい理事長には、元北日本銀行専務の市川喜紀氏(63)
が就任する。いずれも05年4月1日付。

 谷口氏は、1930年大阪府生まれ。一橋大大学院修士課程修了後、英ケン
ブリッジ大セント・ジョンズ・カレッジ卒。59年外務省に入り、国連局経済
課長、フィリピン公使、パプアニューギニア大使などを歴任。86〜89年に
国連大使を務めた。90年には、日本人として初めて、経済協力開発機構(O
ECD)事務次長に就任。6年間にわたって活躍した。

 退職後は、国際基督教大学、東洋英和女学院の客員教授、早稲田大学アジア
太平洋研究センター教授などを務めている。

 谷口氏の起用について増田知事は「一人でも多くの、国際的に活躍できる人
材を育てられる教育機関の長としてふさわしい方だ」と評した。選考にあたっ
ては、西沢学長と相談しながら「建学の理念と西沢学長の考え方を受け継ぎ、
さらに発展させられる」という条件で選んだ。仲介者が間に立って9月ごろに
接触、10月には直接会って打診したという。

 増田知事は、「情熱家で、東南アジアとの交流に命をかける思いがほとばし
る感じがした。第二、第三の新渡戸稲造を生むようにお願いした」とも述べ、
学長としての手腕に強い期待感を示した。

 一方、新理事長になる市川氏は1941年生まれ。武蔵大学経済学部卒業後、
64年に日本銀行入行。仙台支店次長、考査役などを歴任後に北日本銀行に入
り、97年に同行専務となった。04年6月に常勤監査役を退任後は、系列会
社のきたぎんビジネスサービス会長となった。

 増田知事は「大学法人化で、経営と教育は明確に分離される。市川氏は、県
内企業や経済状況を熟知しており、産学官の連携にも造詣(ぞうけい)が深く、
総合的に適任だと判断した」と語った。