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『朝日新聞』広島版 2004年11月11日付 広島大学、「中国重視」経営戦略 国立大学の法人化で大学間競争が激しくなるなか、広島大学が「中国重視」 の経営戦略に力を入れている。中国人留学生の受け皿として2年前に設立され た同大北京研究センター(北京市)が3日、約5倍の約320平方メートルの 広さになってリニューアルし、留学生を呼び込む体制を整えた。今なぜ中国な のか、同センターをどのように活用していくのか。同センター長の佐藤利行教 授に聞いた。(聞き手・池尻和生) −−中国人学生の獲得に本格的に乗り出す理由は。 日本の大学は少子化の中で大学院生の定員を保つことが難しくなっている。 広島大は国際戦略の中でアジアを重視している。中でも今後政治経済などの分 野で(日本との)緊密な連携が予想され、優秀な学生の獲得が狙える中国を最 も重視している。 −−中国人留学生の獲得をめぐり、大学間の競争が激化しているが。 広島大は02年10月、全国の大学に先駆けて北京市の首都師範大学に留学 希望者の窓口となる北京研究センターを設置した。これまでに大学院の文学と 理学の両研究科に計9人が留学した。近い将来、これを年100人に増やした い。現在、東大、一橋大なども現地に事務所を構えたり、共同のカリキュラム を実施したりしている。だが、広島大は早い時期に中国に「投資」し、ほかの 有名大学に負けない蓄積とノウハウがあると自負している。 −−センターに期待される役割は何か。 現地のスタッフが北京市の大学や高校を巡り、学生勧誘の拠点となることだ。 受験生側にとっても、お金のかかる仲介人を通さずに現地で広島大を受験でき、 合格通知が来日のビザの取得に直結するメリットがある。センターに新たに設 けた茶室などが日中の文化交流の場になることも期待している。 −−今後、センターでどのような活動に取り組む予定か。 留学前の学生には日本語を学んでもらい、日本の日常生活に不自由の無いよ うにする。映像を使って日中間の遠隔授業をし、高校生や市民にも日本を知っ てもらう場にもしたい。もちろん、広島大の教授や職員の派遣も行い、学べる 授業内容や留学手続きなどの相談に乗ってもらうよう働きかける。来年にも首 都師範大で、大学説明会や共同研究成果の発表会を催す計画だ。大学の情報発 信の基地として存分に活用したいと考えている。 |