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新首都圏ネットワーク


『日本経済新聞』九州経済面 2004年10月30日付

九州の国立大、産学連携へ相次ぎ東京事務所


 今春に独立行政法人化した九州の国立大学が東京に相次いで事務所を開いて
いる。今秋までに九州工業大学(北九州市)や熊本大学(熊本市)など四校が
進出。首都圏の企業との産学連携を狙うほか、学生に入試情報を伝える拠点な
どに使う。国立大の予算削減が見込まれるなかで、首都圏企業にも接触できる
体制を敷き、新たな収益の芽をはぐくむ考えだ。

 既に九工大、熊本大、佐賀大学(佐賀市)が事務所を構え、鹿児島大学(鹿
児島市)が11月に開く。各大学は、文部科学省が整備した東京・港のJR田町
駅近くにある支援施設の一角を借りた。公募を受け、入居を申請した。

 九工大は11月にも東京の事務所と北部九州にある三つのキャンパスで「テレ
ビ会議」ができるシステムを構築する。首都圏企業との産学連携を強化するう
えで、企業の関係者と工学部の教員らが密に連絡を取り合えるようにする。主
に大学が保有する特許情報の売り込みを計画しており、共同研究の受託につな
げる狙いだ。

 熊本大、佐賀大、鹿児島大は、それぞれ企業で働く首都圏在住の大学OBに
支援を要請。佐賀大は20人を超えるOBを募って組織をつくり、産学連携の足
掛かりを築く。今まで地方の国立大は首都圏企業との接点がほとんどなかった
ため、「東京の拠点をどう使うかで大学間の差が出る」(鹿児島大の矢野利明
理事)との見方が強い。

 競争だけでなく、東京で共存する動きもある。九工大、熊本大、佐賀大は30
日、首都圏の高校生を対象に合同入試説明会を同施設で開く。九州の国立大だ
けが手を組んで説明会を開催する例はあまりないという。文科省の大学運営方
針に関する情報収集もいち早く進める思惑があるようだ。