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新首都圏ネットワーク

寒冷地手当減額問題と労働組合の取り組み

深谷信夫@茨城大学教職員組合執行委員長です。
寒冷地手当減額問題についての [he-forum 7642・7646・7651]を読みました。
気になる論点がありますので、投稿します。茨城大学は支給対象地域ではないので、
この問題は発生していません。

第一。労働組合としては、緊急に、寒冷地手当減額問題についての団体交渉の開催を
申し入れるべきです。寒冷地手当問題は、重要な労働条件事項であり、義務的団体交
渉事項です。大学には、団体交渉応諾義務があります。団体交渉を拒否することはで
きません。少数組合であろうと過半数組合であろうと関係ありません。

第二。労働組合が団体交渉の開催を申し入れているとき、大学は、それを無視して、
就業規則の一方的な不利益変更を行うことはできません。なぜならば、憲法28条と
労働組合法とによって、団体交渉による労働条件決定に最高の位置が与えられている
からです。団体交渉を申し入れたにもかかわらず、大学がそれを無視して就業規則改
定を進めることは、団交拒否と団結否認の不当労働行為を構成します。団体交渉の申
し入れのときに、就業規則の改正手続をやめろ、続けることは不当労働行為だ、と強
く書いておくことが必要でしょう。大学が、聞く耳を持たないと思われる場合は、労
働委員会に、団体交渉が終了するまで就業規則の改定は行うなと大学を指導するよう
に「あっ旋」を求めることです。電話でいいから、緊急に指導してくれと要請してく
ださい。

第三。「準ずる」規定の法律的な意味の確認が必要です。国家公務員法の世界であれ
ば、上位の法律や規則に規律されますから、「準ずる」規定があれば、自動的に、上
位の規範の内容が下位の規則の内容となります。しかし、国立大学法人化によって、
この関係に決定的な変化が生まれたのです。国家公務員労働法制と一般労働法制は、
上下の関係にありません。いわば、横の関係にある全く異質な法律世界です。そうし
たなかで、別世界の規則に「準ずる」との規定があっても、それは、国家公務員労働
法制におけると同様な法的な拘束力を持つ関係ではありません。

第四。しかも、「準ずる」結果が、労働条件の引き上げであるならばともかく、一方
的な不利益変更になるのです。すでに、強調されているように、これは、「就業規則
による労働条件の一方的不利益変更問題」です。合理性の根拠として、国の法律が変
わったからだなどという理由を持ち出すことはできません。そんなことが許されるの
だとしたら、民間企業で、どこか別の会社ではこうした低い水準の労働条件があるか
らうちの会社の労働条件も不利益変更する。こうした横暴が法律的に可能だというこ
とになってしまいます。各大学の財政状況などを具体的に検討して、その必要性など
が検討されなければなりません。

第五。結論として、こうして誠実に交渉した結果、職場の組合員以外の全教職員の意
向を踏まえて、労働組合が、最終的に、どのように決断するか(拒否してたたかうの
か、引き下げ幅を少なくさせて妥協するのか、大学提案に合意するのか)は労働組合
の選択の問題です。ともかく、労働組合を無視してことをすすめさせない、団体交渉
の意義を確認する、このことは決定的に重要です。

以上(041020/11:40)。


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