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新首都圏ネットワーク


『東京新聞』2004年10月17日付

『女、子ども一緒にするな』
女性教育会館と青少年施設 


 女性教育にかかわるナショナルセンターとして、自治体や市民団体に情報発
信してきた国立女性教育会館(埼玉県嵐山町・神田道子理事長)を、政府の独
立行政法人改革の一環で国立オリンピック記念青少年総合センターなど青少年
関連法人と統合する案が浮上している。これに対し、各地の女性団体が「女、
子どもを一緒くたにする前近代的な発想」と反対ののろしを上げている。

■独立行政法人有識者会議 『財政難考えて』

 「らんざん」。女性教育会館は所在地の名前から、女性運動に携わる人たち
からこう呼ばれる。一九七五(昭和五十)年の国連の国際婦人年をきっかけに、
「日本にも男女平等や女性の社会進出を推進するための拠点を」と女性団体な
どが運動を展開。政治家が呼応し、二年後に開館した。

 十四ヘクタールの広大な敷地には関連資料を集めた情報センターや宿泊施設、
テニスコートなどを整備。夜になると研修に集まった全国の自治体職員や運動
家が酒を酌み交わすなど、女性運動に携わってきた人たちにとってとりわけ思
い入れの強い施設だ。

 だが、地方にも婦人会館や男女共同参画センターなどが整備され、最近は宿
泊施設の利用率が三割と低迷。

 このため、九月に発足した政府の「独立行政法人に関する有識者会議」(座
長・飯田亮セコム最高顧問)は「財政状況が厳しい中、統合していかに効果を
上げるかを考えるべきだ」として、宿泊施設があるオリンピック記念青少年総
合センター、青年の家、少年自然の家の三法人と統合する案を月内にもまとめ
る。

 これに猛反発したのが各地の女性団体。全国地域婦人団体連絡協議会や八十
を超す草の根の市民グループが内閣官房長官や文部科学相あてに、相次いで統
合反対の要請書を提出。会館関係者からは「女、子どもをひとまとめに弱者と
して扱う時代に逆戻りするのか」と怒りの声も上がる。

 同協議会の加藤さゆり事務局長は「機能が全く違う法人を統合すれば、よう
やく動きだした男女共同参画社会の実現に向けた政策が後退する恐れがある」
と話している。