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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』2004年10月18日付

東京農工大大学院、学費1割高に 実務家教員などに対応


 東京農工大は05年度4月に開校予定の専門職大学院・技術経営研究科技術
リスクマネジメント専攻(MOT)の授業料を、文部科学省が定めている基準
より1割高く設定する。今年4月の国立大法人化に伴い、各大学の裁量で標準
額の1割を上限に授業料を弾力化できるようになったが、文科省によると、国
立大が学部・大学院の授業料を高くする動きは初めてという。

 高等教育の機会均等をはかるため、国立大の学部や大学院の授業料は文科省
の省令で年間52万800円と定められている。法人化に伴う競争激化で、各
大学は組織改革や研究費の配分見直しなど様々な経営戦略を描いている。授業
料の値上げも検討課題のひとつになっていた。

 専門職大学院は事例研究や現地調査など実践的な教育を目ざすため、企業な
ど外部の実務家を含め従来の1.5倍の教員数が必要になるという。

 実際、4月に開校した法科大学院は、特例として80万円強の授業料が基準
額となっている。

 東京農工大のMOTは、技術リスクを最小に抑え経営戦略を練る専門家を育
成するため、企業や商工会議所など産業界との連携を進める。新しいカリキュ
ラムの策定や学外教員の招請などに費用がかかることから、同大の既存の大学
院より高く設定することにした。

 月内に開かれる経営協議会などを経て正式決定する。

 現在、同大はMOTの新設認可を文科省に申請中で、認可され次第、新入生
の募集を開始する。同大ホームページなどで、授業料57万2800円を予定
額として告知している。