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新首都圏ネットワーク


『京都新聞』2004年10月14日付

京滋4大学統合凍結で関係者に波紋
学生ら「不安消えない」


 滋賀大と滋賀医科大、京都教育大、京都工芸繊維大の4大学の学長が統合協
議を当面凍結し、他の大学を含めた新たな統合を認める方向で合意したことが
明らかになった14日、関係者の間では、今後の統合の枠組みをめぐって期待
と不安が交錯した。

 凍結の方針は、今年9月、1年半ぶりに滋賀医科大で開かれた学長懇談会で
固まった。法人化後の体制作りを急ぐ必要などから、「積極的に進める時期で
はない」という考えで一致した。

 滋賀大の成瀬龍夫学長は「大学を取り巻く環境は法人化で激変した」という。
「今後、経営戦略会議をつくり統合問題も含め大学の在り方を議論する。個人
的には、協議の出発点である滋賀医大との統合を進めたい」と2大学での統合
に意欲をみせる。

 一方、滋賀医大の吉川隆一学長は「9月の懇談会は前回から変わらない状況
を確認したにすぎない」と受け止める。「法人化への対応が最優先であり、近
隣の大学との統合は否定しない。今後も年1回、懇談会は続ける」と慎重な姿
勢だ。

 各大学の学生自治会は02年12月、交流会を開いて統合問題の疑問点をぶ
つけ合った。滋賀大学生自治会副委員長の北川陽一郎さん(21)=教育学部4年
=は今春、大学の教職員から府県境をまたぐ統合は難しいと聞かされた。「県
内2大学の統合に風向きが変わったとも聞く。生活がどう変わるのか、賛否は
別にして、漠然とした不安は消えない」ともらす。

 一方、府県境を越える4大学統合に反対してきた国松善次知事は「4大学は
京都と滋賀、それぞれの地域特性や歴史があり、統合すれば特性を発揮しにく
い。統合後も特性を発揮しやすい県内2大学の統合をあらためて期待する」と
学長間の合意を歓迎した。